「ピアノをやったところで、何になるんですか?」
「今の時代、ピアノを一生懸命やっても、将来の役には立たないですよね」
そんな言葉を、これまで何度か投げかけられたことがあります。
■ 「何になるの?」と聞かれる時代
今は、とても合理的で、効率が求められる時代です。
お受験、進学、習い事。
「それは将来、何につながるのか?」
「意味があるのか?」
そう考えること自体は、決して間違いではありません。
大切なお子さんの時間とエネルギーを使うからこそ、
保護者の方が真剣に悩まれるのは、自然なことだと思います。
だからこそ今日は、
ピアノを通して育つ“目に見えにくい価値”について、少しだけお話しさせてください。
■ 確かに、ピアノは「直接的な武器」ではない
正直に言います。
ピアノが弾けたからといって、
それだけで将来が約束されるわけではありません。
資格になるわけでも、
点数が上がるわけでも、
受験にそのまま有利になるとは限りません。
そういう意味では、
ピアノはとても非効率で、遠回りな習い事かもしれません。
それでも、私は思います。
だからこそ、今の時代に必要なのだと。
■ ピアノで育つのは「結果」ではなく「土台」
ピアノの時間で育つものは、
「上手さ」や「成果」だけではありません。
- すぐにできなくても、向き合い続ける力
- 昨日より少しできた自分を認める感覚
- 自分の内側と静かに対話する時間
- 失敗しても、もう一度やってみようと思える心
これらは、テストの点数には表れません。
けれど、人生のあらゆる場面で、確実に支えになる力です。
ピアノは「何かになるため」の練習ではなく、
「自分で自分を育てる感覚」を知る時間だと、私は考えています。
■ 受験や評価の世界とは、真逆の場所にあるからこそ
お受験も、勉強も、社会に出ることも、
どうしても「評価される世界」です。
正解があり、基準があり、
できたか・できなかったかで判断される場面が続きます。
そんな中で、
正解のない世界に身を置く経験は、
子どもにとって、心の逃げ場であり、回復の場所になります。
音楽に「正解」はありません。
誰かと比べなくてもいい。
点数も順位もない。
ただ、自分の感じたことを音にしていい世界です。
■ 「何になるか」より「どう生きるか」
ピアノを続けた子が、
全員音楽の道に進むわけではありません。
でも私は、こうした卒業生をたくさん見てきました。
- 自分のペースを知っている人
- 感情の整理が上手な人
- プレッシャーの中でも、自分を保てる人
- 努力の仕方を知っている人
それらはすべて、
ピアノの時間で、静かに育っていったものです。
「何になるか」よりも、
「どんな人でいられるか」
その問いに、ピアノは確かに寄り添ってくれます。
■ 最後に、保護者の方へ
「ピアノをやらせる意味があるのか」
そう悩まれること自体が、
お子さんの人生を真剣に考えている証拠だと思います。
ピアノノギフトは、
ピアノを通して「将来の正解」を押しつける場所ではありません。
今、この子が、この子の人生を生きるための土台を育てる場所でありたいと考えています。
ピアノをやったところで、何になる?
その答えは、すぐには見えないかもしれません。
でもいつか、
「あの時間があったから、今の自分がある」
そう振り返る日が来ると、私は信じています。

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