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ピアノをやっていて損したこと・得したこと|正直に全部書きます

「ピアノ、やらせてよかったのかな」

ふとした瞬間に、そう思うことはありませんか。送り迎えの時間、月謝、練習のたびに繰り返す親子バトル。「これだけの時間とお金をかけて、結局うちの子に何が残るんだろう」と考えてしまう夜がある。

私はピアノ講師として、たくさんの親御さんと話してきました。そして私自身も、幼少期からピアノを続けてきた一人です。その両方の立場から、正直に書いてみようと思います。ピアノをやっていて「損した」と感じたこと、そして「得した」と感じたこと。

きれいごとだけでは伝わらないから、まずは「損した」と思ったことから始めます。

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ピアノをやっていて「損した」と感じたこと

時間が圧倒的に取られる

毎日の練習時間。週1回のレッスンへの送り迎え。発表会前の追い込み期間。ピアノは「ちょっとやってみる」では済まない習い事です。

他の子が公園で遊んでいるときに練習している。友達と遊ぶ約束を「今日はピアノだから」と断る。ママだって、仕事のあとに送迎して、夕飯を急いで作って、「練習しなさい」と声をかけて。自分の時間なんて、ほとんどなくなります。

お金がかかり続ける

月謝だけではありません。教材費、発表会の参加費と衣装代、コンクールに出るなら交通費やエントリー代。ピアノ本体の購入費や調律代。「始めたら止められない出費」が次々とやってきます。

「この月謝で英語も習えたのに」「スイミングのほうがコスパいいのかも」。そんなふうに考えてしまうこともあります。

親子ゲンカの種になる

「練習しなさい」と言えばイヤがる。言わなければやらない。練習を見ていると「そこ違う」と口を出したくなる。出せば泣く。出さなければ進まない。

ピアノのおかげで、こんなにケンカしなくてよかったのに、と思ったことがある方は少なくないはずです。

他の選択肢を諦めた

時間もお金も有限です。ピアノに通う分、他の習い事を諦めた。土日が練習で埋まって、家族のお出かけが減った。きょうだいの予定とぶつかって調整が大変。

「もしピアノじゃなくて別のことをやっていたら、この子はもっと活き活きしていたかもしれない」。そんな「もしも」が頭をよぎることもあります。

損したと感じること、ありますよね。私も生徒さんのママたちから、何度もこの話を聞いてきました。そして正直に言うと、その気持ちは間違っていないと思います。ピアノは本当に大変な習い事です。時間もお金もエネルギーもかかる。「損した」と感じるのは、それだけ真剣に向き合っている証拠です。

それでも「得した」と感じたこと

損した部分を正直に書いたうえで、ここからは「それでも、やっていてよかった」と思えることを書きます。先に言っておくと、得したことのほうが、圧倒的に多いです。

集中力が別次元になった

ピアノを弾くとき、子どもは楽譜を読み、両手を別々に動かし、リズムを数え、音を聴きながら次の音を準備する。これを同時にやっています。

この「マルチタスク集中」を毎日繰り返した子どもは、勉強の集中力も変わります。宿題に取りかかるスピード、テスト中の粘り強さ。ピアノをやっている子の集中力は、やっていない子とは明らかに違います。

「やり抜く力」が育った

ピアノは、すぐにはできるようにならない習い事です。1曲を仕上げるのに何週間もかかる。できなかったフレーズを何十回も繰り返す。その積み重ねの先に「弾けた」がある。

この体験を何度も繰り返した子どもは、「すぐにできなくても、続ければできるようになる」ということを体で知っています。これは勉強でもスポーツでも仕事でも、一生使える力です。

感情の引き出しが増えた

嬉しい曲、悲しい曲、勇ましい曲、静かな曲。ピアノを通してさまざまな感情に触れた子どもは、自分の気持ちを理解する力が育ちます。

「今日は悲しい気分」「なんだかモヤモヤする」。その感情に名前をつけられるようになること、そして音で表現できること。これは人間関係でも、自分自身との付き合い方でも、とても大きな財産になります。

自信が「根っこ」から生まれた

発表会で人前に立つ経験。コンクールで結果を出す経験。練習して弾けなかった曲が弾けるようになった経験。どれも、「頑張った自分」を認められる機会です。

ピアノで得た自信は、誰かに褒められて生まれた自信とは少し違います。自分で努力して、自分で掴んだ自信だから、簡単には崩れません。この「根っこのある自信」が、子どもの人生をずっと支えてくれます。

親子の「共通言語」ができた

ピアノをやっているからこそ話せることがある。「今日この曲のここがうまくいった」「発表会のときの緊張、覚えてる?」。子どもが大きくなったとき、ピアノの思い出が親子の共通言語になります。

反抗期で会話が減る時期がきても、ピアノの話題だけは通じたりする。「あのとき一緒に練習したよね」「あの曲、大変だったよね」。その記憶が、親子の絆を静かに繋いでくれます。

「美しいもの」に気づける感性

ピアノを続けた子は、日常の中にある美しい音に気づくようになります。雨の音、鳥の声、電車の発車メロディ。「きれいな音だな」と感じられること。それは、人生を豊かにする力です。

大人になって忙しい毎日を送るようになっても、ふと聴こえた音楽に心が動く瞬間がある。それはピアノが育ててくれた感性のおかげです。

一生ものの趣味が手に入った

サッカーやスイミングは、年齢とともに体力的に難しくなることがある。でもピアノは、80歳になっても弾けます。むしろ、人生経験を重ねるほど表現に深みが出る。

子どもの頃に身につけたピアノの技術は、一生消えません。大人になってブランクがあっても、指が覚えています。孫ができたときに一緒に弾ける。老後の趣味にもなる。これほど長く付き合える習い事は、なかなかありません。

「損」だと思ったことは、実は「得」の裏側だった

ここまで書いてきて気づくことがあります。「損した」と感じたことの多くは、「得した」ことの裏側にあるということ。

時間が取られるからこそ、集中力が育つ。お金がかかるからこそ、本気で向き合う。親子ゲンカが増えるからこそ、お互いの気持ちをぶつけ合える関係が築かれる。他の選択肢を諦めたからこそ、一つのことを深める経験ができる。

損と得は、表裏一体です。楽な道を選んでいたら、得られなかったものがある。大変だったからこそ、手に入ったものがある。

損得で考えるなら、ピアノは「長期投資」に似ています。目先のリターンは見えにくい。でも、10年後、20年後に振り返ったとき、その投資がどれだけ大きなリターンを生んでいたか気づく。多くの大人が「子どもの頃にピアノをやっていてよかった」と言うのは、そういうことなのだと思います。

先生として、一番「得した」と思うこと

最後に、私自身がピアノをやっていて一番「得した」と思うことを書かせてください。

それは、「音楽がそばにある人生を送れていること」です。

嬉しいときに弾く曲がある。悲しいときに支えてくれる曲がある。何も考えたくないときに、ただ指を動かしていると心が落ち着く。子育てで疲れた夜に、静かにピアノを弾くと、自分を取り戻せる感覚がある。

ピアノは、「特技」や「スキル」である前に、心の居場所です。お子さんにとっても、いつかそうなってくれたらいいなと思っています。

損得勘定でピアノを評価すると、どうしても「損」が先に目に入ります。なぜなら、損は今すぐ見えるから。月謝の引き落とし、練習中の子どものイヤそうな顔。でも「得」は、じわじわと、静かに積み重なっていくもの。だから見えにくい。でも確実に、お子さんの中に、得は積み上がっています。

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