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幼稚園での10分ピアノレッスンとソルフェージュが教えてくれたこと

幼稚園の音楽講師時代、私の一日は「保育の時間」と「音楽の時間」の二部構成でした。

保育の時間が終わると、子どもたちが一人ずつ部屋にやってきて、約10分のピアノ個人レッスン。そのあと、グループに分かれてソルフェージュ。

この「個人レッスン」と「グループレッスン」の両方を毎日繰り返した経験が、今のピアノノギフトの原点です。

あの頃の日常を、少しだけ書かせてください。

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保育が終わってからが、私の本番だった

幼稚園での私の肩書きは「音楽講師」でした。でも、保育の時間は他の先生たちと一緒に子どもたちと過ごしていました。

お絵かきの時間に隣に座ったり、お昼ごはんを一緒に食べたり、外遊びに付き合ったり。

保育の時間に子どもたちと過ごすことで、その子の「今日の調子」がわかる。誰と仲がいいか、最近何にはまっているか、朝ママと離れるとき泣いたかどうか。

その情報が、保育後のピアノレッスンでものすごく役に立つんです。保育の時間は「観察の時間」でもありました。

一人10分のピアノ個人レッスン

保育が終わると、子どもたちが順番にレッスン室にやってきます。

一人あたり約10分。短いです。でも、この10分を何十人、何百回と繰り返した経験は、何物にも代えがたいものでした。

10分で何ができるか

10分あれば、実はけっこうなことができます。

最初の1分で、その子の今日の状態を見る。前回の振り返りを30秒。新しいことに挑戦する時間が5〜6分。最後の1〜2分で「今日できたこと」を一緒に確認する。

ただし、この流れは「子どもの状態がいい日」の話です。

泣いて入ってくる日もある。眠くてぐずる日もある。「今日はピアノ弾かない」と宣言する日もある。

そういう日は、10分まるごと「その子の気持ちに寄り添う時間」に変わります。ピアノを弾かなくても、その子がこの部屋で安心していられたら、それで十分。そう割り切れるようになったのは、何十人もの子どもと向き合う中で学んだことです。

一人ひとり、レッスンの色がまるで違う

同じ10分なのに、子どもによってレッスンの色はまったく違いました。

元気いっぱいで「先生、今日はこの曲弾く!」と自分で決めてくる子。おとなしくて、私が「何弾こうか?」と聞くまでじっと待っている子。鍵盤を押すより先に、ピアノの中を覗き込みたがる子。

全員に同じレッスンをしても、うまくいきません。一人ひとりの「入り口」と「ペース」に合わせて、10分の中身を毎回カスタマイズする。

これを毎日、何人もの子どもに対して繰り返すうちに、「この子にはこの入り方がいい」という引き出しが自然と増えていきました。

10分が「宝物の時間」になった子

クラスではいつも賑やかな子が、個人レッスンになると急に静かになることがありました。

最初は「疲れてるのかな」と思いましたが、違いました。その子は、一対一で先生を独り占めできる時間が嬉しかったんです。

「先生、今日はこの音好き」と、ひとつの鍵盤をそっと押して、その響きをじーっと聴いている。クラスでは見せない、静かで繊細な表情。

「この子はこういう面も持っているんだ」と知れたのは、一対一の10分があったからこそ。集団の中では見えない「その子だけの音楽」が、個人レッスンの中にはありました。

グループで教えたソルフェージュ

個人レッスンとは別に、グループでソルフェージュの時間もありました。

ソルフェージュとは、歌ったり、リズムを打ったり、音を聴き分けたりする「音楽の基礎トレーニング」のこと。ピアノを弾く前に身につけておきたい力を、遊びの中で育てていく時間です。

幼児のソルフェージュは「遊び」が命

3歳や4歳の子どもに「はい、ドレミを歌いましょう」と言っても、そう簡単にはいきません。

まずは体を動かす。手拍子でリズムを打つ。ピアノに合わせて歩く、止まる、ジャンプする。高い音が聞こえたら手を上げて、低い音が聞こえたらしゃがむ。

子どもたちは「お勉強」をしている意識はありません。遊んでいるだけ。でも、体で音楽を感じる経験が、そのまま音感やリズム感の土台になっていきます。

この「遊びの中に学びを忍ばせる」技術は、ピアノノギフトのレッスンでも大きく活きています。楽譜を読む練習も、音符カードやリズムゲームを使って、遊びの延長線上でやっています。

グループの力が子どもを引っ張る

一人ではなかなか声を出せない子が、みんなと一緒だと歌える。リズム打ちが苦手な子が、隣の子を見ながら真似して、いつの間にかできるようになっている。

グループには「引っ張る力」があります。

できる子の真似をする。できない子を自然と待つ。「一緒にやる」ことで生まれる安心感と楽しさ。

これは、個人レッスンだけでは得られない経験です。音楽を「みんなで共有する」楽しさを知っている子は、発表会やアンサンブルでも、自然と周りの音を聴ける子になっていきます。

「音の高さ」がわかった瞬間

ソルフェージュの時間に、「高い音」と「低い音」の聴き分けをしていたときのこと。

ピアノで高い音を弾いたら手を上げる、低い音を弾いたらしゃがむ、というゲームです。

ずっと間違えていた子がいました。高い音でしゃがんで、低い音で手を上げてしまう。でも、その子は毎回すごく楽しそうに参加していました。

ある日、急に全部正解するようになりました。本人は「わかった!」と大喜び。周りの子も「すごい!」と拍手。

「わかる瞬間」は、その子のタイミングでやってくる。こちらが焦って教え込むものではない。それを教えてくれたのも、幼稚園のソルフェージュの時間でした。

個人とグループ、両方あるから見えたこと

幼稚園で個人レッスンとグループレッスンの両方をしていて、いちばんよかったことがあります。

それは、同じ子どもの「二つの顔」が見えること。

グループでの姿と個人での姿

グループのソルフェージュでは元気いっぱいに歌っていた子が、個人レッスンになると急に繊細になる。逆に、グループでは引っ込み思案な子が、一対一になると自分の好きな曲を嬉しそうに弾く。

集団の中の「その子」と、一人でいる「その子」は、別の顔を持っています。

両方を知っていることで、「この子には今、何が必要か」がより深く見えるようになりました。

ピアノノギフトは個人レッスンが基本ですが、発表会やイベントでグループの場面もあります。そのとき、幼稚園で培った「集団と個人の両方を見る目」が、今でもしっかり活きているのを感じます。

あの日々が、今の私をつくった

華やかなコンサートホールではなく、幼稚園の小さなレッスン室。

10分という短い時間の中で、泣いたり笑ったり怒ったりする子どもたちと向き合い続けた日々。

グループで声を合わせて歌う子どもたちの、まっすぐな声。

あの経験がなかったら、今の私はいません。

ピアノの弾き方は音大で学びました。音楽の奥深さはドイツで知りました。でも、「子どもと音楽をどう結びつけるか」は、幼稚園の現場でしか学べなかったことです。

10分の個人レッスンで培った「その子を見る力」。グループのソルフェージュで育てた「遊びの中に学びを忍ばせる技術」。この二つが、ピアノノギフトのレッスンの根っこにあります。

お子さんの最初の音楽体験に

幼稚園で何百人もの子どもたちの「音楽のはじまり」に立ち会ってきました。

初めてピアノに触れる子。音楽が好きかどうかまだわからない子。じっとしていられない子。恥ずかしくて声が出ない子。

どんな子にも、その子だけの「音楽への入り口」があります。

ピアノノギフトの体験レッスンでは、ピアノを弾くことだけがゴールではありません。その子が「音楽って楽しいかも」と感じてくれたら、それがいちばんの成功です。

幼稚園の現場で何年もかけて磨いてきた「はじめての子どもに寄り添う力」を、体験レッスンで感じていただけたら嬉しいです。

ピアノノギフトのイラスト

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この記事を書いた人

pianonogiftのアバター pianonogift 東京都出身。東京音楽大学器楽専攻(ピアノ演奏家コース)卒業。 フォルクヴァンク芸術大学(ドイツ)短期留学奨学生。 在学中、東京文化会館やサントリーホール等多数演奏会に出演する他、私立幼稚園で音楽講師も務める。 第41回ピティナピアノコンペティション特級銅賞。 第12回北本ピアノコンクールG部門(大学生)第1位、及び最優秀賞。 第18回日本演奏家コンクール第2位(大学生の部)。 東京フィルハーモニー交響楽団、ウィーン岐阜管弦楽団と協演。 かずさFM、TBSラジオ「檀れい 今日の1ページ」出演。

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