「うちの子、ちょっと落ち着きがないかも」
そう感じているママへ。
3歳・4歳・5歳の「落ち着きのなさ」には、ちゃんと理由があります。
スーパーで走り回る。
ご飯のとき、じっと座っていられない。
幼稚園の先生から「お友だちよりちょっと落ち着きがなくて……」と言われた。
そんな場面が続くと、「もしかしてうちの子だけ?」と不安になりますよね。
周りの子は大人しく座っているのに、うちの子だけずっと動いている。
「しつけが悪いのかな」「私の育て方に問題があるのかな」──そう自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、安心してください。
3歳・4歳・5歳の子どもが「落ち着きがない」のは、ごく自然なことです。
この記事では、年齢ごとの「落ち着きがない」理由と、ママが今日からできる具体的な対処法をお伝えします。
3歳・4歳・5歳の「落ち着きがない」は当たり前?
結論から言うと、この年齢の子どもが落ち着きがないのは、脳の発達として自然なことです。
子どもの脳で「衝動をコントロールする」「じっと我慢する」を担っている部分──前頭前野と呼ばれる場所は、3〜5歳ではまだまだ未発達です。
大人のように「今は静かにしなきゃ」と頭で理解して、身体をコントロールすることは、この年齢の子どもにとってはとても難しいことなのです。
つまり、お子さんが落ち着きがないのは、ママのしつけが悪いわけでも、お子さんに問題があるわけでもありません。
脳がまだ育っている途中──ただ、それだけのことです。
年齢別:「落ち着きがない」の特徴と理由
同じ「落ち着きがない」でも、3歳・4歳・5歳では特徴も理由も少しずつ違います。
お子さんの年齢に合わせて見てみてください。
3歳の子どもは、好奇心のかたまりです。
目に入るもの、耳に聞こえるもの、すべてに反応します。
ご飯を食べていても、窓の外に鳥が飛んだら気になる。
お話を聞いていても、隣の子のおもちゃが気になる。
これは「集中力がない」のではなく、脳が「あれもこれも知りたい!」とフル回転している証拠です。
3歳の子どもが一つのことに集中できる時間は、5〜10分程度が目安。
それ以上じっとしていることを求めるのは、この年齢には少し酷なのです。
4歳になると、自分の意思がはっきりしてきます。
「自分でやりたい」「自分で決めたい」という気持ちが強くなります。
その結果、「座っていてね」と言われても、やりたいことが浮かぶと体が動いてしまう。
「順番を待ってね」と言われても、気持ちが先走ってしまう。
これは「わがまま」ではなく、自我が育っている健全な成長の証です。
ルールを理解する力は少しずつ育ってきていますが、「わかっていても、我慢できない」のが4歳の特徴です。
5歳になると、「座っていなきゃいけない場面」がわかるようになってきます。
幼稚園では座っていられるのに、家では落ち着きがない──そんなことも増えてきます。
これは、外でがんばっている分、家ではリラックスしているということ。
安心できる場所で「素の自分」を出しているだけです。
5歳でも、集中できる時間は15〜20分程度。
長時間じっとしていることを期待するのは、まだ少し早い年齢です。
ママがやりがちなNG対応と、効果的な対処法
「落ち着きなさい!」と叱りたくなる気持ち、とてもよくわかります。
でも、実はその対応が逆効果になっていることがあります。
「じっとしなさい!」と
何度も叱る
「あと3回数えたら
座ろうね」と具体的に伝える
「じっとしなさい」は、お子さんにとって何をすればいいのかわかりにくい指示です。
「椅子に座ろうね」「手をおひざに置こうね」と、具体的な行動を伝えてあげてください。
周りの子と比べて
「〇〇くんはできるのに」
昨日のその子と比べて
「昨日より長く座れたね」
他の子と比べられると、お子さんは「自分はダメなんだ」と感じてしまいます。
比べるなら、昨日のその子と。小さな成長を見つけて、伝えてあげてください。
動き回ることを
すべて禁止する
「ここでは走っていいよ」と
動ける場所・時間をつくる
子どもには、体を動かしたい本能があります。
すべて抑えつけるのではなく、「動いていい場面」と「座る場面」を分けてあげると、メリハリがつきやすくなります。
長時間じっとさせようとする
短い活動を区切りながら
少しずつ「座る時間」を延ばす
最初から30分座らせようとするのではなく、まず5分から。
5分座れたら褒める。次は7分。そうやって少しずつ伸ばしていくのが、いちばん確実な方法です。
うまくいかなかったとき
「どうしてできないの?」と責める
「がんばったね!」と
挑戦したこと自体を認める
叱られたあとに
罰を与える
「次はがんばろうね!」と
未来に目を向けてあげる
「どうしてできないの?」と問い詰めたり、罰を与えたりすると、お子さんの中に不安が生まれます。
不安を抱えた子どもは、新しいことに挑戦できなくなります。
結果ではなく、がんばった過程を認めてあげること。それが、お子さんの心を安心させ、成長を後押しします。
今日からできる5つの具体策
「あと5分で出かけるよ」「もうすぐご飯だから、あと1回遊んだらおしまいね」
子どもは突然の切り替えが苦手です。
事前に予告してあげることで、心の準備ができます。
タイマーを使って「ピピッて鳴ったらおしまいね」とするのも効果的です。
落ち着きがない子ほど、「座れなかったとき」に注目されがちです。
でも大切なのは、「座れたとき」を見つけて褒めること。
「今、ちゃんと座れてるね」「上手にお話聞けてるね」
その一言が、お子さんの「またやってみよう」につながります。
落ち着きがない子は、エネルギーが有り余っていることが多いです。
午前中に公園で思いっきり走る。お風呂の前にダンスタイムをつくる。
体をしっかり動かした後のほうが、子どもは落ち着いて過ごせます。
テレビがついていたり、おもちゃが目に入る場所で「座っていて」と言っても、子どもには難しいです。
ご飯のときはテレビを消す。勉強のときはおもちゃを見えない場所にしまう。
気が散る要素を減らすだけで、集中できる時間はぐっと延びます。
「座りなさい」と一方的に言われると、子どもは反発しやすくなります。
「どの椅子に座る?」「ママの隣と、パパの隣、どっちがいい?」
自分で選んだことには、子どもは自然と従おうとします。
小さな「自分で決めた」を積み重ねてあげてください。
「落ち着きがない」と「発達の心配」の見分け方
ここまで読んで、「でも、うちの子は度を越している気がする……」と感じるママもいるかもしれません。
ほとんどの場合、3〜5歳の落ち着きのなさは発達の一過程です。
でも、以下のような場合は、専門家に相談してみるのも一つの選択肢です。
・同年齢の集団の中で明らかに一人だけ行動が違う場面が多い
・年齢が上がっても、落ち着きのなさが一向に変わらない
・園や家庭で危険な行動(高い場所に登る、道路に飛び出す等)が繰り返される
・お子さん自身が「うまくできない」と困っている様子がある
相談したからといって、すぐに何かの診断がつくわけではありません。
「うちの子の場合はどうなのか」を専門家と一緒に考えることで、ママの不安もやわらぎます。
市区町村の子育て支援センターや、かかりつけの小児科でも相談できます。
一人で悩まないでください。相談することは、お子さんを大切に思っている証拠です。
ピアノが「落ち着き」を育てる理由
「うちの子は落ち着きがないから、ピアノなんて無理」
──そう思われるかもしれません。
でも、実はピアノは、落ち着きがない子にこそ向いている習い事です。
「短い集中」の積み重ねで、集中力が育つ
ピアノのレッスンは、一つの曲をずっと弾き続けるわけではありません。
「この音を弾いてみよう」「次はこのリズムをやってみよう」と、短い活動が次々と変わっていきます。
短い集中を何度も繰り返すうちに、少しずつ「座っていられる時間」が自然と延びていきます。
指先を動かすことで、脳が落ち着く
指先を使う活動は、脳の発達をうながし、感情のコントロールにもつながります。
ピアノは10本の指を使って弾く楽器です。
指先に意識を集中させることで、自然と体全体の落ち着きが育っていきます。
「できた!」の達成感が、自信になる
落ち着きがない子は、「またちゃんとできなかった」「また怒られた」という経験を重ねがちです。
ピアノでは、一つの曲が弾けるようになるたびに「できた!」を体験できます。
その小さな成功体験が、「自分もちゃんとできるんだ」という自信を育てます。
3歳のHちゃんは、レッスンに来るたびに教室の中を走り回っていました。
椅子に座っても、すぐに立ち上がって、あちこち触りたがる。
お母さまは「すみません、いつもこうなんです……」と申し訳なさそうでした。
でも、ある日のレッスンで「ド」の音を弾いたとき、Hちゃんの目がキラッと輝きました。
「もう1回!」と言って、何度も何度も「ド」を弾きました。
そのとき、Hちゃんは3分間、ちゃんと椅子に座っていたんです。
3分。それだけ?と思うかもしれません。
でも、いつも30秒で立ち上がっていたHちゃんにとって、3分はとても大きな一歩でした。
それから半年。Hちゃんは今、30分のレッスンを最後まで座って受けられるようになっています。
お母さまが「信じられません」と涙ぐんでいた姿が、今も忘れられません。
よくある質問
「落ち着きがない」は、この年齢の子どもにとって自然なことです。
ママのしつけが悪いのでも、お子さんに何か問題があるのでもありません。
脳が育っている途中。
心が育っている途中。
体が育っている途中。
今は「落ち着きがない」に見えるそのエネルギーが、やがてお子さんの大きな力になります。
半年後、「あれ、最近落ち着いてきたかも」とふと気づく日──
その日は、思っているよりもずっと早くやってきます。
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