「となりのトトロ」や「もののけ姫」のあのメロディ。今、頭の中で口ずさめた方も多いのではないでしょうか。
何年経っても、いいえ、何十年経っても色あせない。久石譲さんの音楽には、そんな不思議な強さがあります。今日は、私が大好きなこの作曲家の「人となり」と「音楽の作り方」をたどりながら、なぜあの音楽が心に残り続けるのかを、私なりの目線で考えてみます。
なぜこの話をするかというと、久石さんの創作の哲学は、音楽だけでなく、子育てや、毎日の小さな積み重ねにも、そっと効いてくると思うからです。
名前は、あこがれの人からもらった
意外と知られていませんが、「久石譲」は本名ではありません。本名は藤澤守さん。「久石譲」という名前は、学生時代に憧れていた音楽プロデューサー、クインシー・ジョーンズの名前を、漢字に当てはめて作ったものだそうです。
4歳からバイオリンを習い、国立音楽大学で作曲を学んだ久石さん。出発点として選んだのは、同じ音型をくり返す「ミニマル・ミュージック」という、とても実験的な音楽でした。今のジブリの叙情的なメロディとは、ずいぶん遠い場所からのスタートだったのです。
「ナウシカ」は、もう少しで彼の作品ではなかった
久石さんの名を一躍知らしめたのは、1984年の「風の谷のナウシカ」。けれど、この映画の音楽は、当初べつの作曲家が担当する予定でした。
流れを変えたのは、久石さんが公開の前年に作っていた一枚のイメージアルバム。それを宮崎駿監督とプロデューサーの高畑勲さんが気に入り、本編の音楽を任せることになったのです。まだ無名だった彼にとって、これは大きな転機でした。チャンスは、準備をして待っていた人のところに訪れる——そう感じさせるエピソードです。
くり返しの中に、安心は生まれる
ここに、久石さんの作風の秘密があると私は思っています。出発点だったミニマル・ミュージックは、短いフレーズを少しずつ変化させながらくり返す音楽。この「くり返し」の感覚が、ジブリの名曲の土台になっています。
同じモチーフが、形を少しずつ変えながら何度も戻ってくる。だから初めて聴くのにどこか懐かしく、安心して身をゆだねられる。これは、お子さんが同じ絵本を何度も「読んで」とせがむ気持ちと、どこか似ていませんか。くり返しは、退屈ではなく、安心の入り口なのです。
「感動は、才能ではない」と彼は言う
久石さんは著書『感動をつくれますか?』の中で、とても印象的なことを語っています。感性の9割以上は、知識や経験の積み重ねからくる「論理」であって、純粋なひらめきはほんの数パーセントにすぎない、と。
つまり感動は、生まれ持った才能が一発で生み出すものではなく、考え抜いて、書き続けた先に残るもの。彼は派手なひらめきよりも、静かに考える時間と、毎日出し続けることを大切にしています。あの壮麗なメロディの裏には、地道な積み重ねがあるのです。
子育ても、ピアノも、同じかもしれない
ここまで読んでくださったあなたは、もう気づいているかもしれません。久石さんの言葉は、そのまま子育てや習い事にも当てはまります。
「うちの子は才能がないかも」と思う必要は、ありません。なぜなら、感動も上達も、才能ではなく「続けたこと」の先にあるものだから。今日のたった一音、今日の小さな一歩が、やがて論理となって積み重なっていきます。
私がピアノノギフトで大切にしているのも、まさにそこです。上手か下手かではなく、続けたくなる気持ちを育てること。日比谷・三田・田町の教室では、体験レッスンをご用意しています。お子さんの「くり返したい」という気持ちを、私と一緒に見つけてみませんか。

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