「ピアノの練習して」と言っても、ゲームやYouTubeをやめられない。
毎日この攻防戦に疲れているママへ。
「取り上げる」以外の方法があります。
「あと少しだけ」「このゲーム終わったらやる」「あとで」
お子さんがこう言って、結局ピアノの練習をしないまま夜になる。「もう寝る時間でしょ!」と怒って、険悪なまま一日が終わる。
ゲームやYouTubeに夢中で、ピアノの練習が後回しになってしまう。これは今、多くのご家庭で起きている悩みです。
でも、「取り上げる」「禁止する」だけでは、根本的な解決にはなりません。
この記事では、なぜ子どもがゲームやYouTubeをやめられないのか、その理由を理解したうえで、ピアノの練習と両立するための具体的な方法をお伝えします。
なぜゲームやYouTubeは「やめられない」のか
まず知っておいてほしいのは、お子さんの意志が弱いのではないということです。
ゲームやYouTubeは、「やめられないようにつくられている」のです。
脳の報酬系が刺激される
ゲームをクリアしたとき、YouTubeで次の動画が自動再生されるとき──脳では「ドーパミン」という快感物質が分泌されます。このドーパミンは「もっと欲しい」という欲求を生みます。だから、やめたくてもやめられない。
まして子どもは、自分の衝動をコントロールする脳の部分(前頭前野)がまだ発達途中。やめられなくて当たり前なのです。
「受動的な楽しさ」は楽だから
YouTubeは「見ているだけ」で楽しい。ゲームは「反応するだけ」で楽しい。一方、ピアノの練習は「自分から手を動かす」能動的な活動です。脳にとって、受動的な楽しさのほうがはるかに「楽」なので、そちらに引っ張られるのは自然なことです。
「終わりがない」設計になっている
YouTubeは次の動画が自動で始まる。ゲームは次のステージが待っている。「ここでおしまい」という区切りがないから、子どもは自分で止められないのです。
「禁止」ではうまくいかない理由
・隠れて見るようになる(友だちの家で、こっそり等)
・「ゲーム=悪いもの」と思いつつもやめられず、罪悪感を抱える
・ピアノが「ゲームを奪うもの」になり、ピアノ自体を嫌いになる
・「ゲームの代わりにピアノをやらされている」と感じてしまう
ピアノの練習を「ゲームの代わり」にしてしまうと、ピアノまで嫌いになるリスクがあります。大切なのは、禁止するのではなく、「付き合い方」を一緒に考えることです。
ゲーム・YouTubeとピアノを両立する5つの方法
「ピアノを弾いたら、ゲームしていいよ」これだけ。「ゲームの前のルーティン」になればいいのです。
最初のうちは「1分だけでいいよ」とハードルを下げるのがコツです。
ゲームやYouTubeには「終わり」がないから、外から「終わり」をつくってあげます。
「タイマーが鳴ったらおしまいね」と事前に約束する。ママに止められるより、タイマーに止められるほうが、子どもは受け入れやすいです。
お子さんが好きな曲を弾かせる。好きなアニメの曲をアレンジして渡す。「練習」ではなく「好きな曲を弾く時間」にしてみてください。
ママが「聴かせて」とリクエストするのも効果的です。「やらされる練習」から「ママに聴かせる時間」に変わるだけで、子どもの気持ちは大きく変わります。
お子さんだけにルールを押しつけるのではなく、家族全体のルールにします。
「ごはんのときはスマホもゲームもなし」「18時以降は画面を見ない時間」ママもパパもスマホを置く。家族みんなで守るルールにすると、子どもも納得しやすくなります。
「ゲームも楽しいよね。でもピアノも楽しいよ。どっちも楽しめたらいちばんいいよね」
ゲームを否定せず、ピアノの魅力を並べて見せる。「どちらか」ではなく「どちらも」という姿勢が、子どもの心を動かします。
「画面の楽しさ」と「ピアノの楽しさ」は何が違うのか
・受動的(見る・反応する)
・即座に快感が得られる
・終わりがない
・消費する楽しさ
・体には何も残らない
・能動的(自分で弾く・つくる)
・楽しさは少しずつ育つ
・「できた!」のゴールがある
・創造する楽しさ
・一生ものの力が残る
ゲームやYouTubeの楽しさは「今すぐ」の快感。ピアノの楽しさは「積み重ね」の喜び。
でも、ピアノで得られる「自分の手で何かをつくり上げる喜び」は、画面の中にはないのです。
年齢別:画面との付き合い方のヒント
3〜4歳:まだルールを「一緒に決められる」年齢
この年齢なら、「ピアノの前にYouTubeはなし」というルールを最初からつくりやすいです。最初のうちにルーティンを確立しておくと、あとが楽になります。
5〜6歳:「自分で選ぶ」を取り入れる
「ピアノとゲーム、先にどっちをやる?」と選ばせてみてください。自分で「ピアノを先にやる」と決めた子は、その約束を守ろうとします。
小学生以降:「なぜ」を伝えられる年齢
「ゲームは楽しいけど、ピアノで得られるものはゲームでは得られないよ」理由を伝えて、本人に考えさせることができる年齢です。
6歳のRくんは、ゲームが大好きな男の子。レッスンに来ても「早く帰ってゲームしたい」と言っていた時期がありました。
お母さまは悩んでいました。「ゲームばかりで、ピアノの練習をまったくしないんです」
そこで私は、Rくんが好きなゲームの音楽をピアノで弾いてみせました。Rくんの目が変わりました。「え、これピアノで弾けるの?」
それから、Rくんはゲームの曲を弾きたがるようになりました。練習時間も「ゲームの曲を弾く時間」になってから、自分から椅子に座るように。
お母さまが「ゲームの音楽がきっかけになるなんて思いませんでした」と笑っていたのが印象的です。
ゲームは敵ではありません。ゲームの中にある「音楽」を入り口にして、ピアノの世界に引き込むこともできるのです。
よくある質問
ゲームやYouTubeは、現代の子どもにとって日常の一部です。完全に排除するのは現実的ではないし、その必要もありません。
大切なのは、「画面の楽しさ」と「自分の手でつくる楽しさ」の両方を知ること。
ピアノは、画面の中にはない「自分で弾けた」「自分で表現できた」という喜びを教えてくれます。
ゲームをクリアした喜びは一瞬で消える。でも、ピアノで1曲弾けた喜びは、ずっと心に残ります。
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