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「戦場のメリークリスマス」はなぜ、東洋にも西洋にも聞こえるの?坂本龍一の作曲の秘密

あのピアノの旋律。最初の数音が流れただけで、「あ、これ知ってる」と心がふっと動いた経験は、ありませんか。

坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」。とても静かな曲なのに、どこか懐かしくて、それでいて新しい。その不思議さの正体を、今日は私なりの目線で解きほぐしてみます。

なぜこの話をするかというと、坂本さん——みんなが「教授」と呼んだこの人の作曲の工夫には、子どもが音楽に出会う入り口にも通じる、とても大切なヒントが隠れているからです。

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14歳で出会った、生涯の「先生」

坂本さんが生涯でいちばん影響を受けたのは、ドビュッシーとバッハだと語っています。とくにドビュッシーとは14歳で出会い、その響きに夢中になりました。

東京藝術大学で作曲を学んだ坂本さんは、やがて西洋音楽だけでは「行き止まりだ」と感じ、世界中の民族音楽と、電子音楽へと進んでいきます。のちにYMOで電子音を使って東洋的な響きを鳴らしたのも、この探求の延長線上にありました。決められた枠の外に、新しい音をさがし続けた人なのです。

「戦メリ」は、五つの音でできている

あの旋律の懐かしさには、はっきりした理由があります。主役のメロディは、ドレミソラの五つの音——「ヨナ抜き音階」と呼ばれる五音音階でできているのです。

これは、日本のわらべ歌や童謡と同じ音階。だから、私たちの耳にすっとなじみます。ピアノの黒鍵だけを順番に弾くと、近い響きが出ます。お子さんが黒鍵をぽろぽろ鳴らすだけで、どこか「それっぽく」聞こえるのは、この音階の力なのです。

でも、和音は西洋の「浮遊感」

懐かしいだけで終わらないのが、この曲のすごいところです。坂本さんは東洋的なメロディに、西洋の現代的な和音を重ねました。

曲は、安定した「家」の和音ではなく、サブドミナントというふわりと宙に浮くような和音から始まります。さらに9thや13thといった、音を広げる響きが重ねられ、足が地につかないような浮遊感が生まれます。ときには右手と左手が違う調で重なる「複調」という技も使われ、簡単には正体をつかませません。懐かしさと不安定さが、同時に鳴っている——それがあの胸のざわめきの正体です。

「東でも西でもない」ものを作った

おもしろいのは、坂本さん自身が「東洋と西洋を足した」という単純な説明を、はっきり否定していることです。彼が作りたかったのは、東でも西でもない、どちらとも言いきれない新しい何か。

知っているものと知らないもの、なじみと違和感。相反するものをひとつに溶かしたとき、誰のものでもない、その人だけの色が生まれる。これは音楽にかぎった話ではないと、私は思います。

子育ても、ピアノも、「混ぜて、さがす」

ここまで読んでくださったあなたに、伝えたいことがあります。坂本さんが教えてくれるのは、正解をひとつ覚えることより、混ぜて、試して、自分の色をさがすことのおもしろさです。

なぜなら、子どもがいちばん夢中になるのは、「これでいいんだ」と自分で見つけた瞬間だから。そして五音音階は、お子さんが今日からさわれる、いちばんやさしい入り口でもあります。黒鍵をなぞるだけで、もう小さな作曲家です。

私がピアノノギフトで大切にしているのも、その「さわってみたい」を引き出すこと。日比谷・三田・田町の教室では、体験レッスンをご用意しています。お子さんだけの音の色を、私と一緒にさがしてみませんか。

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この記事を書いた人

pianonogiftのアバター pianonogift 東京都出身。東京音楽大学器楽専攻(ピアノ演奏家コース)卒業。 フォルクヴァンク芸術大学(ドイツ)短期留学奨学生。 在学中、東京文化会館やサントリーホール等多数演奏会に出演する他、私立幼稚園で音楽講師も務める。 第41回ピティナピアノコンペティション特級銅賞。 第12回北本ピアノコンクールG部門(大学生)第1位、及び最優秀賞。 第18回日本演奏家コンクール第2位(大学生の部)。 東京フィルハーモニー交響楽団、ウィーン岐阜管弦楽団と協演。 かずさFM、TBSラジオ「檀れい 今日の1ページ」出演。

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