ピアノを習うお子さんが「これ、弾いてみたい!」と言う曲のナンバーワン。何だと思いますか。
その有力候補が、イルマ(Yiruma)の「River Flows in You」です。発表会でもよく選ばれる、流れるように美しいピアノ曲。今日は、なぜこの曲がこんなに多くの人を惹きつけるのかを、その作り方から、私なりの目線で解きほぐしてみます。
なぜこの話をするかというと、この曲の秘密の中に、子どもがピアノを「続けたくなる」ヒントが、そっと隠れているからです。
5歳でピアノ、10歳でロンドンへ
イルマは1978年、韓国・ソウル生まれ。5歳でピアノを始め、10歳でロンドンに渡り、名門パーセル音楽学校で学びました。その後はロンドン大学キングス・カレッジで作曲を専攻しています。
つまり彼は、本格的なクラシックの教育を受けた人。それでいて、たどり着いたのは、とてもやさしくシンプルな音楽でした。難しく弾くこともできる人が、あえて「誰の心にも届く道」を選んだ——私はそこに、とても惹かれます。
使っている和音は、おどろくほどシンプル
「River Flows in You」はイ長調の曲です。土台になっているコードは、F#m → D → A → E という、たった4つのくり返し。ポップスでも数えきれないほど使われる、おなじみの進行です。
むずかしい和音は、ひとつもありません。それどころか、初心者がいちばん最初に習うような、素直なコードばかり。なのに、あれほど胸に迫る。ここにこの曲の不思議があります。
では、なぜこんなに心に残るの?
秘密は、右手の「流れるような音型」です。同じ形のフレーズが、少しずつ表情を変えながら、何度もくり返されていく。そのくり返しが、まるで川の流れのように、聴く人の気持ちをやさしく運んでいきます。
しかも、曲はマイナーの和音からそっと始まります。だから、ただ明るいだけではない、少し切なくて、あたたかい色合いが生まれる。複雑さではなく、流れとくり返しで感情を運ぶ。それがイルマの「シンプルの魔法」なのです。ちなみにこの曲、映画『トワイライト』の劇中曲だと取り違えられたことで、世界中に一気に広まりました。
「弾きたい」が、上達のいちばんの近道
この曲がこれほど愛されるのには、もう一つ理由があります。聴いて感動した人が、「これなら、自分にも弾けそう」と思えること。
なぜなら、和音がシンプルだから、少し練習すれば、ちゃんと形になるのです。憧れて、挑戦して、弾けた。この小さな成功体験こそ、子どもがピアノを好きになり、続けていく、いちばんの原動力になります。
子育ても、ピアノも、「弾きたい気持ち」から
ここまで読んでくださったあなたに、伝えたいことがあります。お子さんが「これ弾きたい」と言ったとき、その気持ちこそが、いちばんの才能の芽です。
むずかしいかどうかより、弾きたい気持ちがあるかどうか。イルマの曲が教えてくれるように、シンプルでも、心を動かす音楽はちゃんと作れます。だからこそ、最初の一曲で「弾けた!」を味わうことが、とても大切なのです。
私がピアノノギフトで大切にしているのも、その「弾きたい」を、ていねいに育てること。日比谷・三田・田町の教室では、体験レッスンをご用意しています。お子さんの「これ弾きたい」を、私と一緒に形にしてみませんか。

コメント