スマホをながめていて、ピアノの動画につい最後まで見入ってしまった——そんな経験はありませんか。
その流行をつくった一人が、Tony Ann(トニー・アン)というピアニストです。SNSの再生数は、なんと数十億回。今日は、彼の音楽の作り方と、その歩みを、私なりの目線でたどってみます。
なぜこの話をするかというと、彼の歩み方には、これからの時代に子どもの「好き」をどう伸ばすか、その大きなヒントが隠れているからです。
一本のカバー動画から、世界へ
Tony Annは中国・北京生まれ、カナダ・トロント育ち。幼い頃からピアノに親しみ、クリーブランド音楽院でクラシックを、バークリー音楽大学で作曲を学びました。土台は、しっかりとしたクラシックの教育です。
転機は2017年。彼が弾いた、あるヒット曲のピアノカバー動画が、インターネットで一気に広まりました。その演奏が認められ、本家のアーティストのツアーに招かれるほどに。今では、合わせて数百万人のフォロワーに見守られる存在です。特別な家柄ではなく、「好き」を発信し続けたことが、世界への扉を開いたのです。
自称「ハーモニーの探究者」
Tony Annは自分のことを「ハーモニー(和声)の探究者」と呼びます。和声とは、いくつかの音を重ねたときに生まれる響きのこと。彼はこの「音の重なり」の心地よさを、とことん追い求めます。
作風は、クラシックの香りを残したネオクラシカルと、親しみやすいポップを混ぜたもの。難しい理論をふりかざすのではなく、「聴いて気持ちいい響き」を大切にする。だからこそ、ふだんクラシックを聴かない人の心にも、すっと届くのです。
言葉も、星座も、音楽になる
彼の人気を決定づけたのが、視聴者からもらった言葉を、その場でピアノ曲にしてしまう「play that word」という遊びです。さらにアルバム『360°』では、12の星座それぞれを一曲ずつ音で表現してみせました。
言葉や、性格や、自分の星座。身のまわりにあるものを、音楽に翻訳する。音楽は、もっと自由でいい——彼の活動は、そう教えてくれます。楽譜の上だけでなく、私たちの毎日のすぐそばに、音楽の種はころがっているのです。
「好き」を発信できる、いい時代
少し前まで、音楽で世界に届くには、特別な舞台やコンクールが必要だと思われていました。けれど今は、スマホひとつあれば、好きな気持ちを世界に向けて発信できます。
これは、子育てをしている私たちにとっても、とても心強いことだと思います。お子さんの「好き」が、思いがけず遠くまで届くかもしれない。その入り口は、いつだって、目の前の小さな一音なのです。
子育ても、ピアノも、「好き」を音にすることから
ここまで読んでくださったあなたに、おすすめしたい遊びがあります。お子さんの名前や、好きな言葉を、ピアノで音にしてみること。「ド」から始めても、好きな音から始めても、正解はありません。
なぜなら、Tony Annが教えてくれるように、自分の「好き」を音にすることこそ、音楽のいちばん楽しい入り口だから。上手かどうかより、まず鳴らしてみる。その一歩が、つづける力になります。
私がピアノノギフトで大切にしているのも、その「好きを音にする」よろこびです。日比谷・三田・田町の教室では、体験レッスンをご用意しています。お子さんの「好き」を、私と一緒に音にしてみませんか。

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