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調律されていないピアノが、名作になった。橋本秀幸が教える“耳を澄ます”力

忙しい毎日の中で、ふと立ち止まって、まわりの音に耳を澄ませる時間。最近、ありましたか。

今日ご紹介するのは、橋本秀幸(はしもと ひでゆき)さんというピアニスト・作曲家です。香川県に暮らしながら、その音楽は世界中で聴かれています。今日は、彼の音楽の作り方と、その奥にある哲学を、私なりの目線でたどってみます。

なぜこの話をするかというと、橋本さんの「耳を澄ます」姿勢には、子育ての毎日にも、そっと効いてくるヒントが隠れているからです。

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香川にいながら、世界で聴かれている人

橋本さんは大阪生まれ。今は香川県高松市を拠点に活動しています。その音楽は、世界中で月に700万回近くも再生され、坂本龍一さんらに続く「ポスト・クラシカル」と呼ばれる、静かで美しいピアノの世界をひらく一人として注目されています。

2025年には、ドイツ・ベルリンを拠点とするソニー系のレーベルから、そのレーベル初の日本人として、世界に向けたアルバムを発表しました。地方の静かな町から、世界へ。その歩みは、住む場所や肩書きではなく、音そのもので勝負できることを教えてくれます。

「本当に感じた音だけを弾く」

橋本さんの音楽を貫いているのは、「自分が本当に感じた音だけを弾く」という哲学です。

上手に見せよう、すごいと思わせよう——そういう演者の自意識を、彼はできるだけ消していきます。なぜなら、弾き手の「私を見て」が強すぎると、聴く人はその音楽の世界に入っていけないから。クラシックよりもジャズに近い即興、自然体、そして余白の多いシンプルさ。だからこそ、聴く人それぞれの心の中で、音楽が静かにひろがっていくのです。

調律されていないピアノが、名作になった

その哲学を象徴するのが、アルバム『home』です。録音場所は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島の学校。使ったのは、10年以上も調律されていない、古いアップライトピアノでした。

窓を開け放ち、鳥の声や虫の音、風の音と一緒に録音する。ピアノのハンマーがきしむ音や、ペダルを踏む音さえ、消さずにそのまま残す。ふつうなら「雑音」として避けるものを、橋本さんは「やさしい気配」として受け入れました。完璧でないものの中にこそ、美しさは宿る。この一枚は、それを静かに証明しています。

引き算が生む、静けさの美しさ

橋本さんは、こんなことを考えたそうです。外から聞こえる鳥や葉の音だけで、もう充分に満たされている。その上で、自分がさらに音を足す意味は、いったい何だろう——と。

足すのではなく、引く。本当に必要な音だけを、そっと置く。その「余白」が、聴く人の心に、想像する場所を残してくれます。たくさん弾けることより、何を弾かないかを選べること。これもまた、ひとつの確かな力なのです。

子育ても、ピアノも、まず「耳を澄ます」

ここまで読んでくださったあなたに、伝えたいことがあります。橋本さんが教えてくれるのは、上手に弾くことの前に、まず耳を澄ますことの大切さです。

お子さんの弾く音に、ミスや雑音がまじっても大丈夫。それもまた、その子だけの「気配」です。正解の音を急ぐより、今この瞬間に鳴っている音を、一緒に味わってみる。そんな時間が、音楽を好きでいつづける土台になります。

私がピアノノギフトで大切にしているのも、その「耳を澄ます」よろこびです。日比谷・三田・田町の教室では、体験レッスンをご用意しています。お子さんと一緒に、世界にひとつの音に、耳を澄ませてみませんか。

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この記事を書いた人

pianonogiftのアバター pianonogift 東京都出身。東京音楽大学器楽専攻(ピアノ演奏家コース)卒業。 フォルクヴァンク芸術大学(ドイツ)短期留学奨学生。 在学中、東京文化会館やサントリーホール等多数演奏会に出演する他、私立幼稚園で音楽講師も務める。 第41回ピティナピアノコンペティション特級銅賞。 第12回北本ピアノコンクールG部門(大学生)第1位、及び最優秀賞。 第18回日本演奏家コンクール第2位(大学生の部)。 東京フィルハーモニー交響楽団、ウィーン岐阜管弦楽団と協演。 かずさFM、TBSラジオ「檀れい 今日の1ページ」出演。

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