子育てには、毎日のように「迷う場面」がやってきます。
育児書を開いても、SNSを見ても、書いてあることはバラバラ。
そんなとき、いちばん確かな答えを持っているのは、実は目の前の子ども自身です。
迷ったときは、子どもをよく観察してみる。すると、子どもが答えを教えてくれます。
正解は、育児書の中ではなく、目の前の子どもの中にある
子育ての情報は、今とてもたくさんあります。「〇歳までに〇〇をさせるべき」「こう声をかけると伸びる」。どれも誰かにとっては正解だったのかもしれません。
でも、子どもはひとりひとり違います。同じ年齢でも、興味をもつもの、心地よいペース、安心できる関わり方は、その子によってまったく違うのです。
モンテッソーリ教育には「子どもに従え(Follow the child)」という言葉があります。大人が決めた正解に子どもを合わせるのではなく、子どもの姿から必要なものを読みとる。その出発点が「観察」です。
答えは、いつも子どもの中にあります。
「見る」と「観察する」は、少し違う
毎日子どもを見ているのに、なぜ答えが見つからないのでしょうか。それは、私たちがつい「評価しながら」見てしまうからです。
- 「また練習してない」
- 「どうして言うことを聞かないの」
- 「ほかの子はもうできているのに」
こうした気持ちで見ていると、子どもの本当の姿が見えにくくなります。観察とは、良い・悪いの判断をいったん脇に置いて、「今、この子は何をしていて、どんな様子なのか」をありのままに見ることです。
判断する前に、まず見る。この順番を変えるだけで、子どもの見え方はがらりと変わります。
子どもが答えを教えてくれる、5つの観察ポイント
① 目の輝き
何かに夢中になっているとき、子どもの目はきらきらと輝きます。時間を忘れて取り組んでいること、話しはじめると止まらないこと。そこに、その子の「好き」と「伸びしろ」がかくれています。
見るポイント:どんなときに目が輝く? 何の話をするとき、声がはずむ?
② 体の様子
子どもの気持ちは、言葉より先に体にあらわれます。肩に力が入っている、うつむいている、足をぶらぶらさせている。反対に、楽しいときは体がやわらかく、動きものびのびしています。
見るポイント:そのことをしているとき、体はかたい? ゆるんでいる?
③ くり返していること
大人から見ると「なんでそればっかり?」と思うことを、子どもは何度もくり返します。それは、今まさにその子が伸ばそうとしている力のサイン。くり返しは、子どもが自分で選んだ学びの時間です。
見るポイント:言われなくても、何度もやっていることは何?
④ 言葉にならないサイン
ぐずる時間帯、泣き出す前のしぐさ、急に甘えてくる瞬間。こうしたサインには、疲れや不安、寂しさなど、言葉にできない気持ちがこめられていることがあります。
見るポイント:いつ、どんな場面で、気持ちが崩れやすい?
⑤ 避けていること
何をしたがるかと同じくらい、何を避けているかにも大切なヒントがあります。苦手なのか、怖いのか、まだ準備ができていないのか。避ける理由に気づけると、関わり方が見えてきます。
見るポイント:いつも後回しにしていること、近づかないことは何?
観察を上手にするためのコツ
口を出す前に、10秒待つ
子どもが困っていそうなとき、すぐに手や口を出さずに10秒だけ待ってみてください。その10秒のあいだに、子どもが自分で答えを見つけることも少なくありません。
小さなメモを残す
気づいたことを、スマホのメモに一行だけ書いておく。「今日はブロックに30分集中」「夕方になるとぐずる」。続けていると、その子のリズムやパターンが見えてきます。
ほかの子と比べない
観察するのは、目の前のこの子だけ。比べる相手がいるとすれば、それは「昨日のこの子」です。
時間や場所を変えて見る
朝と夜、家と外。場面が変わると、見えてくる姿も変わります。ひとつの場面だけで判断しないことも大切です。
迷う場面で、観察から見えてくること
| 迷う場面 | 観察してみること |
|---|---|
| 習い事を続けるか、やめるか | 行く前と帰ってきたあとの表情。家でそのことを話題にするか、自分から取り組むか。 |
| どの楽器・どの曲がいいか | 音楽を聴いたとき、体が動くのはどんな曲? 自分から口ずさんでいる歌は? |
| 練習を嫌がる | 嫌がるのは練習全部? 特定の部分? 時間帯? 疲れているとき? |
| 叱るべきか、見守るべきか | その行動の前に何があった? わざと? それとも気持ちがあふれた? |
| 赤ちゃんがなかなか寝ない | 寝る前の過ごし方、部屋の明るさや音、眠くなるサインが出る時間。 |
ピアノのレッスンでも、答えは子どもが教えてくれる
レッスンの中でも、私は話すことより「見ること」を大切にしています。
鍵盤に向かう前の表情。指先の力の入り方。難しい箇所に来たときの呼吸。ふと手を止めて、別の音を鳴らしはじめる瞬間。そうした小さな変化が、「今日はここまで」「この曲は今のこの子にぴったり」「少し休憩が必要」という答えを教えてくれます。
新しい曲を選ぶときも、何曲か弾いてみせて、子どもの反応がいちばん大きかった曲を選ぶことがよくあります。教える側が決めるより、子どもの「これ弾きたい!」から始まった曲のほうが、ずっと長く、楽しく続いていくのです。
観察しても、答えが見えないときは
じっくり見ても、すぐに答えが出ないこともあります。そんなときは、
- 小さく試して、また見る:やり方を少し変えてみて、子どもの反応を観察する
- 時間を味方にする:今日答えを出さなくてもいい。数日、数週間見守ってみる
- 誰かと一緒に見る:パートナーや先生など、別の目線から見た子どもの姿を聞いてみる
観察は一度で終わるものではなく、子どもと一緒に答えを探していく、ゆっくりとした対話のようなものです。
おっぱいを探す口。そっと添えられる小さな指。お腹がいっぱいになると、目を閉じて満ち足りた顔になること。
言葉がなくても、この子はちゃんと伝えてくれている。
そう気づいてから、迷ったときはまず息子の顔を見るようにしています。
言葉を話すようになっても、きっと同じ。答えはいつも、この子の中にあるのだと思います。
おわりに
子育てに迷うのは、真剣に向き合っている証拠です。でも、答えを外に探しつづけて疲れてしまったら、一度、目の前の子どもに目を向けてみてください。
評価せずに、比べずに、ただ見る。そうすると、子どもは少しずつ、自分にとって必要なものを教えてくれます。いちばんの先生は、いつだって目の前のその子なのです。
子育てや習い事で迷ったときは、どうぞお気軽にご相談ください。
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