水泳、英語、サッカー、そろばん…。
お子さんの習い事がどんどん増えて、「ピアノの練習時間がない」と焦っていませんか?
「全部がんばってほしいけど、さすがに多すぎるかな…」「ピアノ、そろそろ整理すべき?」
今日は、ピアノと他の習い事の両立で悩んでいるママに、講師の立場からお伝えしたいことがあります。
最近の子どもたちは、本当に忙しいです。
私の教室でも、「今日はサッカーの後で来ました」「明日は英語があるから練習できないかも」という声をよく聞きます。
ママは「どれも大事だから全部やらせたい」と思っている。でも、お子さんの時間は限られている。
その間に挟まれて、いちばん苦しいのは、実はママ自身かもしれません。
練習時間がない=ピアノに向いていない、ではありません
習い事がたくさんあると、真っ先に削られやすいのが「おうちでの練習時間」です。
レッスンには通っている。でも、家でピアノに触る時間がほとんどない。
すると、レッスンで「先週と同じところ」をもう一度やることになる。進みが遅くなる。お子さんも「弾けない」と感じ始める…。
ここで大事なのは、「練習時間が少ない=ピアノに向いていない」ではないということです。
忙しくて練習できないのと、ピアノが嫌いで弾かないのは、まったく別の話です。
なぜなら、忙しい中でもレッスンに来ているということは、お子さんの中にピアノへの気持ちがちゃんと残っているからです。
それだけで、十分な「続ける理由」になります。
練習ゼロでもレッスンに通う意味はある?
「でも、練習しないのにレッスンに通い続けても意味あるの?」
そう思いますよね。実は、あります。
週に1回でも先生と一緒にピアノに触れる時間は、お子さんにとって「音楽と繋がっている時間」です。
その30分のレッスンで、新しい音に出会ったり、好きな曲を少しだけ弾いたりする。それだけでも、音楽の感覚は育ち続けます。
なぜなら、ピアノの力は「毎日の練習量」だけで決まるわけではないからです。音を聴く力、リズムを感じる力、指の記憶。これらはレッスンの中でも少しずつ積み重なっていきます。
もちろん、毎日練習できる子と比べれば進みはゆっくりになります。でも、「ゆっくり」は「止まっている」のとは違います。
忙しくても続けられる「ゆる練習」のコツ
忙しい中でもピアノを続けたいなら、「完璧な練習」を目指さないことがポイントです。
1つ目:「5分だけ」でいい
30分練習しなくても大丈夫。朝ごはんの前に5分、寝る前に5分。短くても毎日触れるほうが、週末にまとめて1時間弾くよりも効果があります。
2つ目:「好きな曲だけ」でいい
練習曲をぜんぶやらなきゃ、と思わなくて大丈夫。好きな曲を1曲、通して弾く。それだけで指は動くし、「弾けた」という感覚が残ります。
3つ目:「聴くだけ」でもいい
本当に時間がない日は、レッスンで弾いている曲をYouTubeで聴くだけでも効果があります。耳が覚えている子は、次のレッスンでスッと弾けることがあるんです。
大切なのは「ゼロにしない」こと。細い糸でもいいから、ピアノとの繋がりを切らないこと。それが、忙しい時期を乗り越えるいちばんのコツです。
「多すぎるかも」と思ったら、この質問を
習い事が増えすぎて、お子さんの毎日がパンパンになっているなら、一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
「この習い事は、誰が続けたいと思っているか?」
ママが続けさせたいのか、お子さんが続けたいのか。
ここを確認するだけで、整理の方向が見えてきます。
お子さん自身に「今やっている習い事の中で、いちばん好きなのはどれ?」と聞いてみてください。その答えが、いちばん正直な判断材料です。
もしお子さんが「ピアノ」と答えたなら、他の習い事を見直すことを考えてもいいかもしれません。逆に、他の活動に夢中になっているなら、ピアノを「お休み」にする選択も悪いことではありません。
大切なのは、「やらされている習い事」をひとつもなくすこと。どれもお子さんが「やりたい」と思えるものだけにすることです。
バレエとピアノが「つながった!」と笑った日
私の教室に通っている小学2年生の女の子は、バレエと水泳とピアノを掛け持ちしています。
ママは「練習時間がぜんぜん取れなくて…」と、いつも申し訳なさそうに言ってくれます。
確かに、おうちでの練習はほとんどできていません。進みもゆっくりです。
でも、その子はレッスンに来ると必ず「今日は何弾くの?」と目をきらきらさせて聞いてくるんです。
ある日、バレエの発表会で踊った曲を「これ、ピアノで弾きたい!」と言ってきました。一緒に楽譜を探して、少しずつ練習して、1か月後に弾けるようになったとき、その子は「バレエとピアノがつながった!」と笑っていました。
習い事同士は、敵じゃありません。バレエで体の使い方を覚えた子は、ピアノでも指のコントロールが上手。水泳で呼吸を学んだ子は、フレーズの歌い方が自然。
いろいろな経験が、ぜんぶ音楽に戻ってきます。
「忙しい」は先生に相談していい
もし「忙しすぎてピアノが中途半端になっている」と感じているなら、まず先生に相談してみてください。
「最近、他の習い事が忙しくて練習できていなくて…」と伝えるだけで大丈夫。
良い先生なら、レッスンの内容を調整してくれます。進度をゆるめたり、おうちでの練習が少なくても楽しめる曲を選んだり。「練習してこないとダメ」なんて言う先生ばかりではありません。
レッスンの頻度を月2回に減らす、という選択肢もあります。完全にやめてしまうより、細く長く続けるほうが、お子さんの中に「ピアノを弾ける自分」が残ります。
大切なのは「いくつやるか」より「楽しんでいるか」
習い事を「いくつやるか」より、「どれだけ楽しんでいるか」。
その視点で見てみると、答えはシンプルになります。
お子さんが忙しい毎日の中でも、ピアノの蓋を開けたくなる瞬間があるなら。
レッスンに来て「今日も楽しかった」と言ってくれるなら。
それは、ピアノがお子さんにとって大切な場所だという証拠です。
今は忙しくても、中学生になったとき、大人になったとき、「あのとき続けてよかった」と思える日が来ます。
完璧じゃなくていい。ゆっくりでいい。ピアノは、ずっとお子さんのそばで待っていてくれます。


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