私がピアノ教室を始めた理由。
それは、たったひとつの願いからでした。
ママと子どもが、ピアノを通じて喜びを分かち合える場所をつくりたい。
上手に弾けるようになることが目的ではありません。
コンクールで賞を取ることが目標でもありません。
お子さんが「できた!」と目を輝かせたとき。
その横で、ママが「すごいね」と微笑んでいるとき。
その瞬間こそが、私がいちばん大切にしたいものです。
ピアノ教室で見てきた「喜びの瞬間」
レッスンをしていると、何気ない瞬間に、ふと胸が熱くなることがあります。
4歳の男の子が、帰りの支度をしながらお母さまに言いました。
「ママ、きょうね、ドのおとがじょうずにできたの!」
お母さまが「ほんとう?すごいじゃん!」と笑顔で答えた瞬間、
その子の顔がぱっと輝きました。
緊張で手が震えていた5歳の女の子。
なんとか最後まで弾き終えて、舞台の袖に戻ってきたとき。
お母さまが何も言わずぎゅっと抱きしめました。
女の子は、お母さまの胸の中で泣きました。
あれは、悔し涙ではなく、安心の涙でした。
「先生、聞いてください」とあるお母さまからメッセージをいただきました。
「昨日、娘が夕ご飯のあとに『ママ、聴いて!』と言って、
レッスンで習った曲を弾いてくれたんです。
すごく嬉しそうな顔で。私も嬉しくて……」
どのエピソードにも共通していることがあります。
それは、お子さんの喜びを、ママが一緒に喜んでいるということ。
ピアノが上手になったから嬉しいのではありません。
「がんばったことを、大好きなママに見てもらえた」
「大好きなママが、自分のことを喜んでくれた」
この体験が、お子さんの心を育てるいちばんの栄養です。
ママの「すごいね」が持つ力
お子さんにとって、ママの言葉は世界でいちばん影響力のある言葉です。
先生に褒められるのも嬉しい。
お友達に「すごい」と言われるのも嬉しい。
でも、ママの「すごいね」は、ほかの誰の言葉とも比べられないくらい特別です。
ピアノを習っていると、お子さんが「聴いて」と言う場面がたくさんあります。
「ママ、この曲弾けるようになったよ!」
「ママ、聴いて聴いて!」
忙しい毎日の中で、その声に応えるのが大変な日もあると思います。
でも、ほんの30秒でいい。手を止めて、聴いてあげてください。
そして、「聴いたよ。すごいね。」と言ってあげてください。
この30秒が、お子さんにとっては一生の記憶になるかもしれません。
「上手に弾く」よりも大切なこと
ピアノ教室というと、「上手に弾けるようになること」が目的だと思われがちです。
もちろん、弾けるようになることは大切です。
練習の成果が出たとき、お子さんは大きな達成感を得ます。
でも、私がもっと大切にしていることがあります。
お子さんが「自分はできる」と思えること。
ママが「この子は大丈夫」と思えること。
親子で「楽しいね」と笑い合えること。
テクニックや技術は、あとからいくらでもついてきます。
でも、「ピアノって楽しい」「音楽って嬉しい」という気持ちは、この時期にしか育てられません。
だから、私のレッスンでは「弾けた」「楽しかった」「また来たい」を何よりも大事にしています。
ピアノが「親子の時間」になる理由
習い事というと、お子さんが一人でがんばるもの──そんなイメージがあるかもしれません。
でも、ピアノは少し違います。
お家での練習が「親子の時間」になる
お子さんが練習しているとき。
ママが隣で聴いている。たまに「いい音だね」と声をかける。
それだけで、練習の時間は「ママと過ごす特別な時間」に変わります。
スマホを見ながらでも、料理をしながらでも構いません。
「聴いてるよ」という存在感があるだけで、お子さんは安心して練習に向かえます。
「一緒に聴く」が共通の話題になる
レッスンで習った曲を、お家で一緒に聴く。
「この曲、どんな感じがする?」「ママはこの部分が好きだな」
音楽を通じた会話は、日常の何気ない親子の対話を豊かにしてくれます。
成長を「一緒に感じられる」
先月は弾けなかった曲が、今月は弾けるようになっている。
去年はたどたどしかった指が、今年はスムーズに動いている。
ピアノは、お子さんの成長が「音」としてはっきり見える習い事です。
その成長を、ママが間近で感じられる──これはピアノならではの喜びです。
「先生、私、ピアノのことは全然わからないんです。
でも、この子が弾いている姿を見ていると、なんだか泣きそうになるんです。
こんなに小さい指で、こんなに一生懸命やっている。
それを見られるだけで、ピアノを習わせてよかったなって思います。」
この言葉を聞いたとき、私は改めて思いました。
ピアノは、子どものためだけのものじゃない。
ママにとっても、大切な体験なんだ──と。
私がこの教室に込めている想い
ピアノノギフト──「ピアノからのギフト(贈り物)」。
この名前には、ピアノを通じてお子さんとママに届けたい「贈り物」への想いを込めています。
お子さんへ:「自分にもできる」という自信。「表現する楽しさ」という宝物。そして、「がんばった自分を誇れる心」。
ママへ:わが子の成長を間近で感じる喜び。「この子は大丈夫」という安心。そして、「ピアノを通じてこの子と過ごした時間」という、かけがえのない記憶。
親子へ:「できたね!」「すごいね!」「楽しいね!」──ピアノを真ん中に置いて、喜びを分かち合う時間。
私はピアノの先生ですが、同時に一人のママでもあります。
子育ての大変さも、わが子の成長がどれだけ嬉しいかも、よく知っています。
だからこそ、この教室を「上手に弾かせる場所」ではなく、「親子で喜びを感じられる場所」にしたいと思っています。
ピアノを始めなくても、今日からできること
最後に、ピアノを始める前からでも、今日からできることをお伝えします。
お子さんが何か新しいことができたとき。
小さなことでも、「すごいね」と言ってあげてください。
お子さんが「見て見て!」と言ったとき。
ほんの少しでも、手を止めて見てあげてください。
お子さんと一緒に、好きな音楽を聴いてみてください。
一緒に歌ってみてください。一緒に身体を動かしてみてください。
「一緒に楽しむ」──それだけで、お子さんの心には何かが芽生えます。
そして、もしその「楽しむ」の延長に、ピアノがあったら。
きっと、親子の時間がもっと豊かになると思っています。
「できた!」の笑顔を、一緒に見つけませんか?
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