「やりたくない」「できないからやらない」
お子さんがそう言うとき、心の中では何が起きているのでしょうか。
失敗を恐れる子には、理由があります。そして、変われるきっかけもあります。
新しい遊びに誘っても「いい、やらない」。お絵描きを始めても「うまく描けないからやめる」。お友だちがやっていることを、じっと見ているだけ。
「なんでやってみないの?」と言いたくなる気持ち、とてもよくわかります。
でも、お子さんの中では「やりたくない」ではなく、「失敗するのが怖い」「間違えたらどうしよう」という気持ちが渦巻いています。
この記事では、子どもが失敗を恐れる原因と、挑戦する心を育てるためにママができることをお伝えします。
なぜ子どもは「失敗」を恐れるようになるのか
生まれたばかりの赤ちゃんは、失敗を恐れません。何度転んでも立ち上がるし、何度落としても拾おうとする。
では、いつから「失敗が怖い」と感じるようになるのでしょうか。
原因1:「結果」で評価された経験
「上手にできたね!」──この言葉は一見ポジティブですが、繰り返されると、子どもは「上手にできないとダメなんだ」と感じ始めます。
失敗を恐れる子の多くは、「結果で評価される」ことを学んでしまった子です。
原因2:失敗したときに叱られた・笑われた経験
「だから言ったでしょ」「なんでできないの」──失敗したときにこう言われた経験があると、子どもは「失敗=怒られること」と記憶します。
原因3:「完璧でなければ」というプレッシャー
周りの大人が完璧を求めすぎると、子どもは「中途半端な結果を出すくらいなら、最初からやらないほうがいい」と感じるようになります。
原因4:慎重な性格(=悪いことではない)
生まれつき慎重な気質を持った子もいます。これは「臆病」ではなく「慎重」。慎重さは、丁寧さや観察力という強みの裏返しです。
ママが知らずにやっている「挑戦をつぶす」声かけ
「ほら、だから言ったでしょ」
「やってみたんだね、えらいね」
失敗のあとに「だから言ったでしょ」と言うと、子どもは「次から挑戦するのをやめよう」と学びます。
「失敗しないようにね」
「失敗しても大丈夫だよ」
「〇〇ちゃんはできてるよ」
「あなたのペースでいいんだよ」
「なんでやらないの?」
「やりたくなったら言ってね、
ママは待ってるよ」
子どもは「いつでも戻れる場所」があるから、一歩踏み出せるのです。
「挑戦する心」を育てる5つの方法
「やってみたんだね」「挑戦できたね」──この言葉が、次の挑戦への勇気になります。挑戦すること自体に価値があると知った子は、失敗を恐れなくなります。
ママが料理を失敗して「あちゃー、焦がしちゃった!まあいいか」と笑う。新しいことに挑戦して「ママもやったことないけど、やってみよう」と言う。
ママが失敗しても平気でいる姿を見ると、子どもは「失敗って、そんなに怖いことじゃないんだ」と体で理解します。
「ちょっとだけやってみる?」「最初の1回だけでいいよ」小さなステップを用意して、「やれた!」を体験させてあげてください。
「うまくいかなかったね。でも、どこがうまくいかなかったかわかったでしょ?それってすごいことだよ」
失敗から学べることを知った子は、失敗を「終わり」ではなく「始まり」として受け止められるようになります。
慎重な子は、挑戦するまでに時間がかかります。「見ているだけ」の時間も、実は学びの時間です。
「まだやらないの?」ではなく、「あなたのタイミングでいいよ」。ママが待ってくれるという安心感が、いちばんの後押しになります。
ピアノが「挑戦する心」を育てる理由
「失敗しても大丈夫」を何百回も体験できる
ピアノの練習では、間違えることは日常です。ミスして、やり直して、またミスして、またやり直す。この「間違えても世界は終わらない」という体験を何百回と繰り返すうちに、失敗への恐怖が薄れていきます。
「昨日の自分」を超える体験ができる
昨日弾けなかったフレーズが、今日弾けるようになる。「できなかったことが、できるようになる」──この体験を繰り返すことで、子どもは「やってみれば変わるかもしれない」と信じられるようになります。
マンツーマンだから「安全な場所」で挑戦できる
グループの中で失敗するのは怖い。でも、先生と1対1の空間なら、失敗しても恥ずかしくない。マンツーマンレッスンは、失敗を恐れる子にとって「安全に挑戦できる場所」です。
5歳のQちゃんは、新しい曲を渡すと必ず「できない」と言う子でした。弾く前から「できない」。楽譜を見ただけで「無理」。
でも、私は知っていました。Qちゃんは、前の曲も最初は「できない」と言っていたこと。そして、毎回ちゃんとできるようになっていたこと。
だから、こう言いました。「覚えてる?前の曲も最初は『できない』って言ってたよね。でも、できるようになったよね。今回もきっと同じだよ」
Qちゃんは少し考えて、「……じゃあ、ちょっとだけやってみる」と言いました。
それから3か月。Qちゃんは今でも新しい曲で「難しい」とは言いますが、「できない」とは言わなくなりました。代わりに「やってみる」と言うようになりました。
「できない」を「やってみる」に変えるのに必要なのは、大きな勇気ではなく、小さな成功体験の積み重ねと、「待ってくれる大人」の存在なのだと改めて感じました。
よくある質問
失敗を恐れるお子さんは、「弱い子」ではありません。「がんばりたい気持ち」が強いからこそ、失敗が怖いのです。
必要なのは、「もっとがんばれ」ではなく、「失敗しても大丈夫だよ」という安心感。そして、小さな「やってみた」「できた」を積み重ねていくこと。
半年後、お子さんが「やってみる」と自分から言えるようになる日──その日は、今日の小さな一歩の先にあります。
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