「好きなことを、いつか仕事にできたら」。お子さんの“好き”を前にして、そんなことを思ったことはありませんか。
今日ご紹介するのは、宅見将典(Masa Takumi)さんという作曲家です。2023年、日本人として初めて、グラミー賞の最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞を受賞した人。けれど私がいちばん惹かれるのは、その受賞そのものより、そこにたどり着くまでの“歩き方”です。
なぜこの話をするかというと、宅見さんの歩みには、子どもの「好き」を信じたくなるヒントが、たくさん詰まっているからです。
トランペット少年が、独学で何でも弾く人になった
宅見さんの音楽の出発点は、小学校のブラスバンドで吹いたトランペットでした。13歳のとき、X JAPANのYOSHIKIさんの音楽に衝撃を受け、バンドを組んで作曲を始めます。
すごいのはここから。彼は独学で、ドラム、ギター、ベース、ピアノと、次々に楽器を覚えていきました。そして2001年、ロックバンドのドラマーとしてメジャーデビュー。最初から作曲家だったわけでも、ピアニストだったわけでもないのです。
回り道が、ぜんぶ「引き出し」になった
その後の宅見さんは、いっけん寄り道のように見える道を、たくさん歩きます。EXILEやDA PUMPといったアーティストへの楽曲提供、アニメ音楽、東京2020オリンピックの文化プログラム。海外でもレゲエのアルバムでグラミーにノミネートされ、洋楽のボーカリストのプロデュースも手がけました。
ロックも、ポップスも、レゲエも、和の音も。ジャンルを越えて通ってきた経験は、どれも無駄になりませんでした。むしろ、そのすべてが彼の「引き出し」になっていったのです。遠回りに見えた道が、あとから一本につながる。私はここに、とても勇気をもらいます。
『Sakura』は、和と洋を“混ぜた”音楽
グラミーに輝いたアルバム『Sakura』は、箏(こと)などの和楽器と、西洋のオーケストラを溶け合わせた、和洋折衷のサウンドです。
象徴的なのは、彼が手がけた東京2020の文化プログラムの名前が「MAZEKOZE(混ぜこぜ)アイランドツアー」だったこと。違うものを混ぜることを、彼はおそれません。日本のものも、海外のものも、ぜんぶ自分の中で混ぜて、ひとつの新しい響きにする。その姿勢が実を結び、2023年、日本人初の快挙へとつながりました。
「混ぜる」は、立派な才能
たくさんの楽器を弾けて、いろんなジャンルを知っているからこそ、彼は自由に混ぜられます。これは、ひとつのことを深く極めるのとはまた違う、もうひとつの才能のかたちだと私は思います。
いろいろなものに触れた経験は、いつか必ず、その人だけの色になる。だから「あれもこれも中途半端かも」と心配しなくて大丈夫です。混ぜられるのは、たくさん知っている人の特権なのですから。
子育ても、ピアノも、「好き」を寄り道のままに
ここまで読んでくださったあなたに、伝えたいことがあります。お子さんの「好き」は、たとえ寄り道に見えても、いつかぜんぶつながっていきます。
なぜなら、宅見さんがそうだったように、触れたものすべてが、その子の引き出しになるから。ピアノも、その「好き」の入り口のひとつ。今日ならした一音が、何年かあとの、その子だけの色になるかもしれません。
私がピアノノギフトで大切にしているのも、その「好き」の芽を、ゆっくり育てること。日比谷・三田・田町の教室では、体験レッスンをご用意しています。お子さんだけの音の引き出しを、私と一緒に増やしてみませんか。

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