「この子には、敷かれたレールの上を安全に歩いてほしい」――そう願う一方で、「本当にそれでいいのかな」と迷うことはありませんか?
いい学校、いい会社、安定した人生。親として、子どもにつらい思いをさせたくないのは自然なことです。でも、誰かが決めたレールの上を歩き続けた先で、「自分は何のためにここにいるんだろう」と立ち止まってしまう人もいます。
この記事では、谷川嘉浩さんの著書『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』をヒントに、3歳からピアノとともに生きてきたわたし自身の歩みを振り返りながら、子どもの「衝動」をどう見つけ、どう守るかを考えます。
※書籍の内容は、わたしなりの受け取り方で紹介しています。
- 結論|レールより大切なのは、その子の中にある「衝動」
- 「衝動」ってなに?
- 私の場合|レールの上を全力で走った先で、立ち止まった
- 子どもの「衝動」を見つけるために、親ができること3つ
- まとめ
1.結論|レールより大切なのは、その子の中にある「衝動」
その子の中にある「なぜか惹かれてしまうもの」を一緒に見つけること。
レールそのものが悪いわけではありません。でも、レールは他の誰かが用意したもの。いつか子どもが「本当にこっちでいいの?」と迷ったとき、支えになるのは自分の内側から湧いてくる、理由のうまく説明できない「好き」や「こだわり」です。
親ができるのは、その芽を見つけて、つぶさずに守ってあげることなのだと思います。
2.「衝動」ってなに?
この本でいう「衝動」は、わたしの受け取り方でいうと、理由はうまく説明できないのに、なぜか惹かれてしまうこと・くり返してしまうこと。人からほめられるからでも、役に立つからでもなく、気づいたらやっている。そんな自分の中の「偏り」のようなものです。
| まわりから来るもの | 内側から来る「衝動」 | |
|---|---|---|
| きっかけ | 人の評価、流行、「こうするべき」 | なぜか惹かれる、気づいたらやっている |
| 続け方 | 結果や評価が出ないと続かない | 結果に関係なく、くり返してしまう |
| 迷ったとき | まわりの声に揺れやすい | 自分の軸になる |
子どもを見ていると、この「衝動」の芽はあちこちにあります。何度も同じ曲を弾きたがる、同じ遊びを飽きずにくり返す、なぜか特定の音色が好き。大人から見ると「意味がない」ように見えることの中にこそ、その子らしさが隠れているのかもしれません。
3.私の場合|レールの上を全力で走った先で、立ち止まった
わたしの人生には、3歳のときからずっとピアノがありました。振り返ると、それはまさに「レール」の上を全力で走る日々でもありました。
3歳|ピアノを始める。遊んだあとにピアノ、そのあとごはん。ピアノは生活の一部だった。
中学生|部活には入らず、毎日18時から20時はピアノ。
高校|音楽高校へ。朝練・夜練の日々。「1位じゃないと意味がない」という価値観の中で、一度1番も経験した。
大学|音楽大学へ。深夜0時から朝6時まで練習室にこもった日も。でも「結果を出さなければ」という思いに縛られ、結果を残しても心はすり減っていった。
迷いの時期|「何のためにこんなにピアノに力を入れてきたんだろう」。身近な人に「わたしらしいって何?」と聞いたり、音楽以外の世界で自分らしく生きている人たちに出会ったりする中で、狭い世界の価値観がすべてだと思っていたことに気づく。
29歳|海を見ながら名前を決めて、ピアノノギフトを開く。
誰かが決めた「1位」というレールから外れたとき、わたしの手もとに残っていたのは、やっぱりピアノでした。結果を出すためのピアノではなく、子どもたちに音楽を届けたい、ママたちの力になりたいという、理由をうまく説明できないけれど、どうしても手放せない想い。
今思えば、それがわたしの「衝動」だったのだと思います。レールの上を走っていたころも、外れて迷っていたころも、ずっとわたしの中にあったもの。生活も大きく変わりましたが、子どもたちへの想いと、ママたちへの想いは変わりません。
それが、その人の「衝動」なのかもしれない。
4.子どもの「衝動」を見つけるために、親ができること3つ
同じ曲をくり返し弾く、同じ絵本をせがむ、同じ遊びに何時間も夢中になる。親から見て「またそれ?」と思うことこそ、その子の衝動の芽かもしれません。1行でいいので、気づいたことをメモしておきましょう。
「それをやって何になるの?」は、衝動の芽をつぶしてしまう言葉です。すぐに結果や意味が見えなくても、夢中になっていること自体を大切にしてあげてください。
わたしが音楽以外の世界の人たちに出会って視野が広がったように、子どもにもいろいろな生き方をしている大人に出会う機会をつくってあげてください。「こんな生き方もあるんだ」という発見が、子どもの可能性を広げます。
そしてピアノは、子どもの衝動の芽が育ちやすい場所のひとつです。好きな曲、好きな音、好きな弾き方――ピアノを通して、子どもは自分の「好き」に出会っていきます。
5.まとめ
- レールより大切なのは、その子の中にある「なぜか惹かれてしまうもの」=衝動
- 衝動は、まわりの評価ではなく、内側からくり返してしまうものの中にある
- 私の場合、「1位」というレールを全力で走り、すり減り、迷った先で、手もとに残ったのはピアノと「子どもたちに音楽を届けたい」という想いだった
- 親ができること:くり返していることをメモ/役に立つかで判断しない/レールの外の大人にも出会わせる
子どもの人生のレールを、親がすべて敷いてあげることはできません。でも、その子の中にある衝動の芽を見つけて、守ってあげることはできます。
いつかその子がレールの上で迷ったとき、自分の内側から湧いてくるものを信じて、自分の道を選べるように。ピアノが、その小さな支えのひとつになれたらうれしいです。
ピアノノギフト 主宰 湖苗美
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