練習時間、教材、教室、コンクール…。子どものピアノのことで、悩みが尽きないと感じていませんか?
「毎日何分弾かせればいい?」「この教材で合ってる?」「発表会に出すべき?」――ひとつ解決しても、また次の悩みがやってくる。気づけば、親のほうがへとへとになっていることもあります。
そんなときにヒントになるのが、安宅和人さんの著書『イシューからはじめよ』の考え方です。ビジネス書として知られる一冊ですが、実は子育てやピアノとの向き合い方にも、そのまま使える視点が詰まっています。
※この記事は、書籍の考え方をピアノ講師の視点から子育てに当てはめて解釈したものです。
- 結論|悩みを全部解こうとしない。「本当に答えを出すべき問い」を見つける
- 『イシューからはじめよ』の考え方をかんたんに
- ピアノの悩みに当てはめると?
- 私の場合|「1位」というイシューを、ずっと解き続けていた
- 今日からできる、イシューの見つけ方3ステップ
- まとめ
1.結論|悩みを全部解こうとしない。「本当に答えを出すべき問い」を見つける
「いちばん答えを出すべき問い」をひとつ見つける。
子どものピアノで親が悩むことは、たくさんあります。でも、そのすべてに同じ力で向き合っていたら、親も子どもも疲れてしまいます。
大切なのは、たくさんの悩みの中から、「これに答えが出れば、ほかの悩みも自然と小さくなる」という問いを見つけること。その問いに集中すれば、親子の関わり方はぐっとシンプルになります。
2.『イシューからはじめよ』の考え方をかんたんに
この本でいう「イシュー」とは、ざっくり言うと「本当に答えを出すべき、大事な問い」のこと。本の中では、価値のある仕事とは「イシュー度(問いの大切さ)」と「解の質(答えの質)」の両方が高いものだと語られています。
そして、多くの人がやってしまいがちなのが、問いを見極めないまま、とにかく量をこなして答えを出そうとすること。本ではこれを「犬の道」と呼び、避けるべき道として紹介しています。
| 犬の道 | イシューからはじめる | |
|---|---|---|
| 進め方 | 目の前の悩みに、片っぱしから全力で取り組む | まず「本当に答えを出すべき問い」を決める |
| 使う力 | とにかく量・時間・根性 | 大事な問いに、力を集中させる |
| 結果 | がんばったのに、成果につながらないことも | 少ない力で、大きな変化が生まれる |
子育てにたとえると、「ピアノのためにできることは全部やる」が犬の道。「この子にとって今いちばん大事なことは何か」を先に決めるのが、イシューからはじめる関わり方です。
3.ピアノの悩みに当てはめると?
たとえば、親がよく抱える悩みを並べてみます。
| よくある悩み(表面の問い) | その奥にあるイシューの例 |
|---|---|
| 毎日何分練習させればいい? | この子は、自分から弾きたいと思えているか? |
| どの教材がいい? | この子は今、何につまずいていて、何が楽しいのか? |
| 発表会やコンクールに出すべき? | この子にとって、ピアノは何のためにあるのか? |
| なぜ「練習しなさい」でケンカになる? | ピアノが、生活の中に自然に組み込まれているか? |
左側の悩みは、どれも大切です。でも、右側の問いに答えが出ると、左側の悩みは自然と答えが見えてきたり、そもそも悩まなくてよくなったりします。
たとえば、「この子は自分から弾きたいと思えているか?」というイシューに向き合えば、練習時間の正解探しより、好きな曲を弾く時間をつくるほうが先だと気づけるかもしれません。
いちばん大事な問いに、親の力を集中させる。
4.私の場合|「1位」というイシューを、ずっと解き続けていた
振り返ると、わたし自身も「イシュー」を取りちがえていた時期がありました。
高校時代、わたしは「1位じゃないと意味がない」という価値観の中でピアノを弾いていました。一度1番を経験してからは、大学でも「結果を出さなければ」という思いに縛られ、ひたすら練習を重ねていました。深夜0時から朝6時まで練習室にこもった日もあります。
でも、結果を残しても、何かを得た感覚はありませんでした。むしろ、すり減っていった。
今思えば、わたしは「どうすれば1位を取れるか」という問いを、量と根性で解き続けていたのだと思います。でも、本当に向き合うべきだったのは、「わたしは何のためにピアノを弾いているのか」という問いでした。
遠回りをして、恥ずかしい思いもたくさんして、ようやくその問いに向き合えたとき、わたしは自分らしい指針を少しずつ見つけはじめました。
一方で、子どものころのわたしがピアノを続けられたのは、両親が練習やコンクールを強制せず、「遊んだあとにピアノ、そのあとごはん」という生活の流れがあったから。「どうやって練習させるか」ではなく、「ピアノが自然にある暮らし」という問いに、知らず知らずのうちに答えが出ていたのだと思います。
5.今日からできる、イシューの見つけ方3ステップ
練習時間、教材、先生、発表会、子どもの態度…。頭の中にあるモヤモヤを、まずは紙に全部出してみます。書き出すだけで、悩みの数と重さが見えてきます。
書き出した悩みを見ながら、ひとつずつ問いかけます。
多くの悩みにつながっている問いが、あなたの家庭にとってのイシューです。
イシューが見つかったら、そこに力を集中させます。たとえばイシューが「自分から弾きたいと思えているか?」なら、「今週は好きな曲を1曲、一緒に選ぶ」。小さくても、大事な問いに向かう一歩です。
6.まとめ
- ピアノの悩みを全部解こうとすると、親も子も疲れてしまう
- 『イシューからはじめよ』の考え方:まず「本当に答えを出すべき問い」を見極める。量で押し切る「犬の道」は避ける
- 「何分練習?」の奥には、「自分から弾きたいと思えているか?」のようなイシューがある
- 私の場合、「どうすれば1位か」を量で解き続け、すり減った。本当の問いは「何のために弾くのか」だった
- 今日からできること:悩みを書き出す/「ほかも楽になる?」と問う/今週できることをひとつ決める
子どものためにできることは、数えきれないほどあります。だからこそ、全部をやろうとしなくていい。いちばん大事な問いをひとつ見つけて、そこに親の愛情とエネルギーを注ぐ。
それだけで、ピアノと親子の関わり方は、きっとずっとシンプルで、やさしいものになります。
ピアノノギフト 主宰 湖苗美
「うちの子の場合、いちばん大事な問いってなんだろう?」
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