それでも、なかなか「自分にとっての答え」が見つからないことはありませんか。
もしかしたら、足りないのは答えではなく、「問い」なのかもしれません。
今日は、「問い」の重要性と、自問自答が気づきを与えてくれるワケについて、ピアノ講師として、母として感じていることをお話しします。
なぜ「答え」より「問い」が大切なのか
私たちは、つい「正しい答え」を探しがちです。でも、答えは問いの形によって決まります。どんな問いを立てるかで、見える景色も、たどり着く答えも変わってしまうのです。
たとえば、「どうして私はうまくできないんだろう」と問えば、頭の中にはできない理由が並びます。一方で、「どうしたら、少しだけうまくいくだろう」と問えば、次にできることが浮かんできます。
また、人は問いを持つと、それに関係する情報が自然と目に入るようになります。「赤いものはどこ?」と意識した瞬間に、街中の赤いものが目に飛びこんでくるように。問いは、心のアンテナのようなものなのです。
いい問いがあれば、
答えは自分の中から見つかることがある。
自問自答が気づきをくれる3つのワケ
1. 言葉にすると、頭の中が整理される
もやもやした気持ちは、言葉にしないうちは形がありません。「私は今、何に困っているんだろう?」と自分に問いかけ、答えを言葉にしてみると、絡まっていた糸が少しずつほどけていきます。
2. 自分の本音に出会える
人の意見やSNSの情報に囲まれていると、何が自分の本当の気持ちなのか、わからなくなることがあります。「私は本当はどうしたい?」という問いは、外の声をいったん脇に置いて、自分の内側の声に耳をすませる時間をつくってくれます。
3. 問いが、行動の方向を決める
「今日、何をしよう?」より、「今日、何をしたら1日の終わりに満たされているだろう?」。問いを少し変えるだけで、選ぶ行動が変わります。毎日の問いの積み重ねが、やがて人生の方向をつくっていくのです。
心を軽くする問い、苦しくする問い
自問自答は、使い方しだいで自分を責める道具にもなってしまいます。同じ悩みでも、問いの形を少し変えるだけで、心の向きが変わります。
| 苦しくなりやすい問い | 心を軽くする問い |
|---|---|
| なんで私はダメなんだろう? | 今の私にできる、小さな一歩は何? |
| どうして子どもは言うことを聞かないの? | この子は今、何を感じているんだろう? |
| なんでうまく弾けないの? | どこで止まる?何が変われば弾けそう? |
| みんなはできているのに、なぜ? | 1ヶ月前の自分と比べて、何が変わった? |
| 失敗したらどうしよう? | うまくいったら、どんな景色が見える? |
ポイントは、「なぜ(できないのか)」で終わらせず、「どうしたら」「何を」に変えていくこと。過去を責める問いから、未来をひらく問いへ。それだけで、自問自答はやさしい味方になってくれます。
ピアノと「問い」
ピアノは、実は「問い」の連続です。
練習のときの問い
「何回弾けばできるようになる?」ではなく、「どこでつまずいている?」「指?それとも楽譜の読み?」と問いかける。問題の場所がわかれば、練習の仕方が変わり、上達のスピードもぐっと変わります。
演奏のときの問い
「この曲で、何を伝えたい?」「この音は、どんな色をしている?」。正しく弾くことの先にあるのは、自分なりの答えを探す時間です。同じ楽譜でも、問いの立て方ひとつで、演奏はまったく違うものになります。
レッスンでの問い
私はレッスンで、すぐに答えを言わずに、子どもに問いかけることを大切にしています。「今の音、どう聴こえた?」「次はどんなふうに弾いてみたい?」。自分で考えて見つけた答えは、教えられた答えよりも、ずっと深く子どもの中に残るからです。
私の手帳に書いた問い
私は毎日、手帳を書いています。その中には、ときどき自分への問いを書きこみます。出産前の7月の手帳には、こんな問いが並んでいました。
人生を四季に分けると、20代後半から30代前半は「夏休み」のような時期なのではないか。そう気づいたとき、「この夏休みに何をしていたいだろう?」という問いが生まれました。この問いは、今も私の行動の指針になっています。
一方で、「親友ってなに?」という問いには、まだ答えが出ていません。でも、それでいいのだと思っています。すぐに答えが出ない問いを持ち続けることも、自分を深く知るための大切な時間だからです。
今日から使える自問自答の問い
☀️ 朝の問い
・今日、1日の終わりに「よかった」と思えるのは、どんな日?
・今日いちばん大切にしたい人は誰?
・今日、ひとつだけやるとしたら何?
🌙 夜の問い
・今日、うれしかったことは何?
・今日、誰かに「ありがとう」を伝えられた?
・明日の自分に、何をプレゼントしたい?
🌱 ときどき立ち止まる問い
・私は本当は、どうしたい?
・それは、誰のための選択?
・1年後の自分は、今の私に何と言うだろう?
・10年後、この時間をどう思い出したい?
全部に答えなくて大丈夫。ひとつだけ選んで、手帳やスマホのメモに一行書いてみてください。続けていくうちに、自分の中に答えを見つける力が少しずつ育っていきます。
それでも、授乳の合間や、レッスンへ向かう電車の中で、ふと自分に問いかけることがあります。
「今日の私は、何を大切にしたい?」
その一行の問いが、慌ただしい毎日の中で、私を私に戻してくれる気がしています。
そしていつか、息子にも、答えを教えるより先に「あなたはどう思う?」と問いかけられる母でいたいと思っています。
おわりに
答えを探して迷ったときは、一度立ち止まって、問いを見直してみてください。「どうしてできないの?」を「どうしたら少しよくなる?」へ。「みんなはどう思う?」を「私はどうしたい?」へ。
いい問いは、きっとあなたの中に眠っている答えを、そっと照らしてくれます。
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