毎日が初演
発信も、演奏も、イベントも、レッスンも。
私が大切にしている心得
私には、毎日の仕事に向かうときに、心の中でそっと唱えている言葉があります。
それが、「毎日が初演」。
ブログやSNSでの発信、ピアノの演奏、イベント、そして子どもたちとのレッスン。どれも、私にとっては毎回が「初演」です。今日は、この言葉に込めている想いと、私なりの心得を書いてみたいと思います。
「初演」という言葉
音楽の世界で「初演」とは、新しい作品がはじめて人の前で演奏されることを言います。
初演の日、その曲がどんなふうに響くのかは、作曲家にも、演奏者にも、聴衆にも、まだ誰にもわかりません。客席の空気、ホールの響き、その日の演奏者の心と体。すべてが重なって、たった一度きりの音楽が生まれます。
そして実は、初演は完成形ではありません。歴史に残る名曲の中にも、初演のあとに作曲家が手を加え、改訂を重ねて今の形になった作品がたくさんあります。初演は「終わり」ではなく、作品が世界と出会う「はじまり」なのです。
一度きりの舞台に向き合う、真剣さ。
そして、完璧でなくても世に出す、勇気。
発信も、演奏も、イベントも、レッスンも
発信|読んでくれる人にとっては、いつも「はじめて」
ブログやSNSで、同じようなことを何度も伝えていると感じる日もあります。でも、その言葉にはじめて出会う人が、必ずどこかにいる。私にとっては何度目かのテーマでも、読んでくれるその人にとっては「初演」です。
そして発信は、完璧を待っていたらいつまでも出せません。今日の自分が届けられるいちばんの言葉で、まず出してみる。足りなかったところは、次の発信で改訂すればいいのです。
演奏|同じ曲でも、今日の音は一度きり
何百回と弾いてきた曲でも、今日弾く音は今日にしか生まれません。指の調子も、心のありようも、聴いてくれる人も、毎日違う。だからこそ、弾き慣れた曲ほど、「はじめて人前で弾く」ような新鮮さと緊張感を大切にしたいと思っています。
イベント|集まった人の組み合わせは、二度とない
同じ内容のイベントでも、そこに集まる人の顔ぶれは毎回ちがいます。その日、その場所で、その人たちと過ごす時間は、たった一度きり。茶道でいう「一期一会」の気持ちで、目の前の人たちとの時間をつくりたいと思っています。
レッスン|100回目の説明も、その子には初演
先生にとっては何度も伝えてきたことでも、目の前の子どもにとっては、はじめて出会う音楽、はじめて知ること。私が慣れてしまったら、その子の「はじめて」の輝きを曇らせてしまうかもしれません。
毎週のレッスンも、子どもにとっては毎回が小さな初演。だからこそ、先生である私も、毎回はじめての気持ちで、その子の音に耳をすませたいのです。
「毎日が初演」5つの心得
一、準備はする。でも、完璧は待たない。
初演の日は必ず来る。整えられることは整えて、あとは舞台に立つ。
二、目の前の「ひとり」のために。
たくさんの人に向けるより、目の前のひとりに届けるつもりで。
三、昨日をなぞらない。
慣れた道ほど、今日の新しさを探す。
四、緊張も、楽しむ。
緊張は、大切に思っている証。その震えごと、音にする。
五、終わったら、次の版へ。
うまくいかなかったところは、改訂のチャンス。初演は、はじまりにすぎない。
子どもたちへ|毎日のピアノも、あなたの初演
この心得は、ピアノを習う子どもたちにも伝えたいことです。
毎日の練習で弾く音も、レッスンで先生に聴かせる演奏も、発表会のステージも、どれもあなただけの初演。間違えても、つっかえても大丈夫。初演は完璧じゃなくていい。弾いてみたからこそ、次はどうしたいかが見えてくるのです。
母になって、ますます「毎日が初演」
息子が生まれてから、この言葉の意味がさらに深くなりました。
はじめての授乳、はじめての沐浴、はじめての外出、はじめてのレッスン復帰。息子にとっても、母としての私にとっても、毎日がまさに「はじめて」の連続です。
思うようにいかない日も、準備が間に合わない日もあります。それでも、今日という日は一度きり。完璧じゃなくても、今日のこの子と、今日の私で、今日しかない時間を奏でていきたいと思っています。
今日の発信も、今日の演奏も、今日のレッスンも、今日の子育ても、ぜんぶがたった一度きりの初演。
だから私は、今日も幕を上げます。
完璧じゃなくても、真剣に。
そして終わったら、また次の初演へ。
ピアノノギフト 山口こなみ
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