「子どもが習い事を辞めたいって言うんですけど、ここで辞めさせていいのか迷っています…」
ピアノ教室を運営していると、このご相談をとても多くいただきます。そしてこれは、私にとっても最も答えるのが難しい質問の1つです。
「辞めたい」と言い出した子どもの気持ちを尊重すべきか。それとも「もう少し続けてみたら?」と背中を押すべきか。正解がない問いだからこそ、親は悩むのだと思います。
この記事では、習い事のやめどきを見極めるためのヒントをお伝えします。「辞める=失敗」ではありません。そのことを前提に、読んでいただければうれしいです。
・子どもが「辞めたい」と言う本当の理由
・今すぐ辞めたほうがいい5つのサイン
・もう少し続けたほうがいい3つのケース
・辞めるときの伝え方と親の心構え
・ピアノ教室の講師が伝えたい「辞めるのは悪いことじゃない」
子どもが「辞めたい」と言う──その裏にある本当の理由
子どもが「辞めたい」と言ったとき、その言葉を額面通りに受け取るのは少し待ってください。「辞めたい」の裏には、いろいろな気持ちが隠れています。
\u2713つまらなくなった──最初の新鮮さが薄れ、マンネリを感じている
\u2713難しくなった──レベルが上がって、ついていけない不安がある
\u2713先生と合わない──先生の指導スタイルや性格に違和感がある
\u2713友達関係のトラブル──教室で嫌なことがあった
\u2713他にやりたいことができた──別の興味が出てきた
\u2713忙しすぎる──学校や他の活動で疲れている
\u2713親の期待がプレッシャー──「上手にならなきゃ」と感じている
まずは、どれに当てはまりそうかを探ってみてください。「辞めたい」の理由によって、対応はまったく変わります。
今すぐ辞めたほうがいい5つのサイン
「もう少し頑張ってみたら?」と言いたくなるのは親心です。でも、次のサインが出ているときは、無理に続けないほうがいい場合があります。
1体に症状が出ている
習い事の前にお腹が痛くなる、頭痛がする、眠れなくなる──体がSOSを出しているときは、心が限界に近いサインです。
2自己肯定感が下がっている
「自分はダメだ」「才能がない」と言い始めた。習い事がきっかけで自分を嫌いになっているなら、続ける意味を考え直す必要があります。
3半年以上「行きたくない」が続いている
一時的な「行きたくない」は誰にでもあります。でも、半年以上ずっと嫌がり続けているなら、それは一時的なものではありません。
4先生との関係が修復できない
先生の指導に恐怖を感じている、先生を嫌っている──環境を変えられるなら別の教室を試す手もありますが、その習い事自体が嫌になっているなら辞め時かもしれません。
5他の生活に悪影響が出ている
習い事のストレスで学校に行きたがらない、家で荒れる、兄弟に当たる──生活全体のバランスが崩れているなら、優先すべきは子どもの安心です。
もう少し続けたほうがいい3つのケース
一方で、「ここを乗り越えたら見えるものがある」というケースもあります。
ケース1:壁にぶつかっている
習い事には必ず「壁」があります。簡単にできていたことが急に難しくなる時期です。この壁を越えると、一段上の楽しさが待っている──でも、子どもにはまだそれが見えません。
この場合は、先生に相談して「少しレベルを落としてもらう」「好きな曲を取り入れてもらう」など、環境を調整することで乗り越えられることがあります。
ケース2:一時的な気分
「今日は暑いから行きたくない」「ゲームの続きがしたい」──こういった理由なら、もう少し様子を見てもいいでしょう。子どもは気分の波が大きいので、翌週にはケロッとしていることもあります。
ケース3:もうすぐ区切りがある
発表会が来月にある、あと2か月で進級する──近くに「区切り」がある場合は、そこまで頑張ってみることを提案してもいいかもしれません。「やり切った」という達成感は、辞めた後の心の支えになります。
辞めるときに大切にしてほしいこと
辞めると決めたとき、大切なのは「辞め方」です。辞め方次第で、子どもの心に残るものがまったく変わります。
\u2715 突然行かなくなる(フェードアウト)
\u2715 「あなたが続けないって言ったんでしょ」と子どものせいにする
\u2715 「月謝がもったいなかった」とお金の話を持ち出す
\u2715 先生に何も言わずに辞める
\u2715 「根性がない」「すぐ諦める」と人格を否定する
○ 子どもと一緒に「最後の日」を決める
○ 先生にきちんとお礼を伝える
○ 「ここまで頑張ったね」と過程を認める
○ 辞める理由を子どもと話し合う
○ 「次にやりたいことがあったら、いつでも始められるよ」と伝える
辞めること自体は、何も悪いことではありません。でも「逃げた」という気持ちが残ると、次の挑戦が怖くなります。「自分で考えて、自分で決めた」という実感を持てるようにしてあげてください。
ピアノ教室の講師として伝えたいこと
正直に言います。ピアノの先生として、生徒さんが辞めるのは寂しいです。
でも、それ以上に大切にしていることがあります。それは、「辞めた後も、音楽を嫌いにならないでほしい」ということです。
Rくんは小学2年生のときにピアノを辞めました。サッカーに夢中になって、両方を続ける時間がなくなったからです。
辞めるとき、Rくんは泣きました。「ピアノも好きなのに」って。私は「サッカーを思い切り楽しんでおいで。ピアノは逃げないから」と送り出しました。
2年後、Rくんのママから連絡がありました。「Rが学校の合唱の伴奏に立候補したんです。ピアノを辞めた後も、家でときどき弾いていたみたいで」。
添えられていた手紙には、こう書いてありました。「先生、ぼくまだピアノ好きです。」
辞めることは、終わることではない。ピアノを嫌いにならずに辞められたRくんは、自分のタイミングで音楽に戻ってきました。
「辞めどき」を見極める3つの質問
最後に、辞めるかどうか迷ったとき、自分に聞いてみてほしい3つの質問を紹介します。
1「この習い事をしている時間、子どもは幸せそう?」
レッスン中に笑顔がない、行く前に暗い顔をする──その時間が子どもにとって「幸せな時間」でなくなっているなら、辞めることを考えるタイミングかもしれません。
2「続けたいのは、子ども? 私?」
本当に続けたいのは子ども自身なのか、それとも親の期待や投資した費用が手放せないのか。自分の本音に向き合ってみてください。
3「辞めたら、この子は何を失う? 何を得る?」
辞めることで失うものだけでなく、得るものにも目を向けてください。自由な時間、ストレスからの解放、別の挑戦の機会──辞めることで手に入るものもあります。
よくある質問
もし今通っている教室が合わないと感じているなら、環境を変えるだけで変わることもあります。
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