ピアノを習うと「弾く力」が育つのは当然ですが、実はもう一つ、とても大切な力が育っています。それが「聴く力」です。
音を聴く力は、音楽の世界だけで終わりません。人の話を聴く力、空気を読む力、相手の気持ちを察する力。ピアノで育った「聴く力」は、コミュニケーション能力の土台になります。
ピアノで育つ3つの「聴く力」
1つ目は「音の違いを聴き分ける力」。大きい音と小さい音、高い音と低い音、速いリズムと遅いリズム。ピアノを通してこうした微細な違いを聴き分ける耳が育ちます。この力は、言語の聞き取りにも直結します。英語のリスニング力が高い子にピアノ経験者が多いのは、偶然ではありません。
2つ目は「自分の音を客観的に聴く力」。弾いている最中に、自分の音がどう聞こえているかを意識する。これは「メタ認知」と呼ばれる高度な能力です。自分を客観的に見る力は、勉強でも人間関係でも役立ちます。
3つ目は「相手の音を聴く力」。連弾やアンサンブルでは、相手の音を聴きながら自分の演奏を合わせます。これは「相手の話を聴きながら、自分の意見をまとめる」というコミュニケーションの基本と同じです。
「聴ける子」はコミュニケーション上手
ピアノを習っている子は、人の話をよく聴くと言われることがあります。先生の指示を聴く習慣があること、音に対する集中力が高いこと。これらが、日常のコミュニケーションにも良い影響を与えています。
友達の話を最後まで聴ける。先生の説明を集中して聴ける。相手の声のトーンから気持ちを察することができる。「聴く力」が育った子は、人間関係でも信頼される存在になっていきます。
家庭でできる「聴く力」の育て方
ピアノの練習だけでなく、日常の中でも聴く力を育てることができます。
お散歩のときに「今、何の音が聞こえる?」と聞いてみる。鳥の声、車の音、風の音。意識して耳を傾ける習慣が、聴く力の土台を作ります。
お子さんのピアノを「ながら聴き」ではなく、手を止めてじっと聴いてあげる時間を作る。聴いてもらえた経験が、お子さんの「聴く力」をさらに育てます。人は、聴いてもらった分だけ、人の話を聴けるようになるからです。
レッスンで「先生、聴いて」と言う子がいます。練習してきた成果を聴いてほしい。新しく弾けるようになった曲を聴いてほしい。「聴いてもらいたい」という気持ちは、「自分も誰かの話を聴こう」という気持ちにつながります。
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