ピアノの練習のたびに、親子でバトルになってしまう。
レッスンでは先生の言うことを素直に聞くのに、家だとどうしてこうなるの?
実はそれ、親子だからこそ起きる、とても自然なことなのです。
今日は、練習中に子どもが本当に思っていることと、親子バトルを減らすためのヒントをお伝えします。
なぜ親子だとバトルになるのか
1. いちばん安心できる相手だから、甘えが出る
先生の前ではがんばれるのに、家では素直になれない。それは、親がいちばん安心できる存在だからこそです。家では気をゆるめて、「やりたくない」「疲れた」という本音がそのまま出てきます。バトルになるのは、親子関係がうまくいっていない証拠ではなく、むしろ安心している証でもあるのです。
2. 親は「結果」を、子どもは「今の気持ち」を見ている
親は「来週のレッスンまでに弾けるようにしなきゃ」と先を見ています。一方で子どもは、「今ちょっと疲れてる」「今はゲームの続きがしたい」と、今の気持ちで動いています。見ている時間の長さが違うので、ぶつかりやすくなるのです。
3. 親の言葉は「評価」に聞こえやすい
先生の「おしいね」は練習のアドバイスとして受けとれても、親の「そこ違うよ」は「ダメな子だと思われている」と感じてしまうことがあります。大好きな人からの言葉だからこそ、心に強く響いてしまうのです。
4. 親も、余裕がない時間帯にやりがち
夕方から夜にかけての、家事と育児でいちばん忙しい時間。親も子も疲れているタイミングで練習が始まると、小さなことで火がつきやすくなります。
練習中、子どもが本当に思っていること
バトルのとき、子どもの心の中にはこんな気持ちがかくれていることがよくあります。言葉にはしなくても、こんなふうに感じているのかもしれません。
自分で決めたかったのに、先に言われてしまう。子どもにとって「自分で決める」ことは、とても大切な自尊心の一部です。
まだ弾けないところを、すぐ近くでじっと見られるのは、大人が思う以上にプレッシャーです。
昨日よりできるようになったところがあるのに、気づいてもらえるのはいつも間違えたところ。そうなると、練習そのものがつらくなっていきます。
反発しているように見えても、根っこにあるのは「認めてほしい」という気持ち。いちばん聴いてほしい相手は、実はお母さん・お父さんなのです。
園や学校でがんばってきた日は、ピアノに向かう元気が残っていないこともあります。「やる気がない」のではなく、「今は休みたい」だけかもしれません。
「自分で決めたい」「認めてほしい」
という気持ちがかくれていることが多いのです。
親子バトルを減らす6つのヒント
1. 「教える人」は先生にまかせる
弾き方を直したり、間違いを指摘したりするのは、先生の役目。おうちでの親の役割は、「聴いてくれる人」「応援してくれる人」で十分です。役割を分けるだけで、バトルはぐっと減ります。
2. 練習の「いつ」と「何を」を子どもに決めてもらう
「今日はいつ弾く?」「どの曲から弾く?」と子どもに選んでもらいましょう。自分で決めたことは、言われたことよりずっと続けやすくなります。
3. 「練習」ではなく「ミニコンサート」にする
「練習しなさい」ではなく、「1曲聴かせて!」とお願いしてみてください。子どもは演奏者、親はお客さん。拍手をもらえるとわかると、子どもは自然とピアノに向かいたくなります。
4. できたところを先に伝える
間違いに気づいても、まずは「ここ、きれいに弾けたね」「先週よりなめらかになったね」と、できたところから。直すのは、先生にまかせても大丈夫です。
5. 時間を短く、タイマーで区切る
「終わりの見えない練習」は、子どもにとってつらいもの。「5分だけ」とタイマーをセットして、鳴ったら終わり。短くても、毎日続くほうがずっと力になります。
6. バトルになったら、その日はやめていい
お互いに感情が高ぶったら、その日は練習をおしまいにしましょう。無理に続けても、ピアノが「嫌な思い出」になるだけです。「今日はやめよう。また明日ね」と言えることも、大切な選択です。
バトルになりやすい言葉、言い換え表
| バトルになりやすい言葉 | 言い換えてみると |
|---|---|
| 早く練習しなさい | 今日はいつ弾く? |
| そこ、また間違えてる | ここまで弾けるようになったんだね |
| 何回言ったらわかるの | 先生に聞いてみようか |
| ちゃんとやらないならやめなさい | 今日は疲れてる?明日にしようか |
| 〇〇ちゃんはもっと弾けてるよ | 先月より上手になったね |
| 練習した? | 1曲聴かせてくれる? |
それは、親子だとどうしても「先生」と「ママ」が混ざってしまい、どちらの役割もうまくいかなくなると思うからです。
レッスンでは先生として、家ではママとして。
息子がいつかピアノを弾くようになったら、私はいちばんのお客さんとして、「1曲聴かせて」とお願いしたいなと思っています。
おわりに
ピアノの練習で親子バトルになるのは、親が真剣で、子どもが安心しているからこそ。どちらも悪くありません。
大切なのは、「練習させること」より、「ピアノを好きでいられること」。親が先生役をおりて、いちばんのお客さんになったとき、子どもは自分からピアノの前に座りたくなるはずです。
おうちでの練習のこと、どうぞお気軽にご相談ください。
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